大谷翔平選手の通訳の水原一平さんという方がギャンブル依存症に陥って多額の借金を重ねた上に、窃盗の容疑まで加わり、世間を賑わしています
カジノ(ゲーミング)は、多くの国で合法化され、各国の法の下に適切に管理され発展している健全な産業の一つです
今回のことで糾弾されるべきは違法な賭博に関わった当事者たちであり、ギャンブル産業にまったく非はありません
カジノ(ゲーミング)産業に長年携わる者として、「ギャンブル=社会悪」といった短絡的な偏見をこれ以上助長させたくなくて、この事件について一言言わせていただきたいと思います
まず、いわゆる「ギャンブル」についてご説明させていただきます
今、ひとくくりにされている「ギャンブル」には分類があって、日本で一般的な「スポーツブック」「宝くじ」「パチンコ・パチスロ」「カジノ」は、それぞれまったく別物であり、違う産業です
ちなみに、日本では現在、「スポーツブック(競馬・競輪・競艇・オートバイ・TOTO)」「宝くじ」「パチンコ・パチスロ」のみが合法化されています
公営ギャンブルと認められるためには、合法的な賭博であることを示す根拠法が必要であり、そのため、各公営ギャンブルには必ず監督省庁があります
競馬/農林水産省
競輪/経済産業省
ボートレース(競艇)/国土交通省
オートレース/経済産業省
TOTO(スポーツ振興くじ)/文部科学省
宝くじ/総務省
パチンコ・パチスロ/警察庁
※準備中のカジノ(IR)は、現在のところ内閣府
今回のように、ギャンブル依存症に関わるニュースが出ると、すぐに「カジノの是非」といった話題に触れられがちですが、そもそも通訳の水原さんはカジノでギャンブルをしていたわけではありません
水原さんがハマったのは「スポーツブック」であり、今回問題になっているのは、ギャンブルをしたことではなく、違法な胴元の元でギャンブルを行い、またそこで作った借金を違法な手段で穴埋めしていたことです
ここで、カジノマシンのゲーム性についても簡単に説明しておきます
いわゆるカジノでのギャンブルには「ゲーム・オブ・チャンス」のルールがあります
シグマの真鍋社長がご著書の中で説明されている内容がとても分かりやすいのでご説明させていただきます
■商業賭博のパラドックス■
ここで、商業賭博についてふれておこう。商業賭博は、結果的には胴元が勝ち、子、すなわちプレーヤーが負けることを基本としてぃる。ところが誰もが勝つことを確信している。ここに誤解がある。
たとえばスロットマシンの場合、現在、製作されているものは、ほとんどがペイアウト率を80%以上にしている。子、すなわちプレーヤーは、一回ハンドルを引くたびに、掛金の最高で20%を胴元、すなわち機械に支払ってぃることになる。単純にいえば100個のコインを投入すれば、80個もどってくる。その80個のコインを投入してゲームをすれば、64個もどってくるという計算である。それが繰り返されていき、やがてゼロになる。
これが商業賭博がビジネスとして成立するための基本的なルールでもある。
もちろんカジノで"勝つ人もいる。それは穴のあとには穴が出やすいという確率論のポアソン分布などによって、一時的に、あるいは部分的に勝つ人が存在しているだけなのだ。すべてのギャンブルにおいて、プレーヤーは徐々に、そして確実に負けていくのである。
また、商業賭博には、ゲーム・オブ・チャンスのルールがある。ゲームはプレーヤーに対してまったく平等であり、誰にでも均等にチャンスがあるというものだ。
『これからますます四次元ゲーム産業が面白いー時間消費ビジネスをリードする(真鍋勝紀著/かんき出版)』から
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「依存症」にはたくさんの種類があります
「ギャンブル依存症」もさることながら、「薬物依存症」「買い物依存症」「アルコール依存症」「セックス依存症」「アイドル依存症」「カフェイン依存症」「タバコ依存症」等、本人がそのことで頭がいっぱいになり、生活に支障をきたすようになれば、それらはすべて「依存症」ということになります
もちろん違法なことやものに依存するのは論外ですが、すべての原因を世の中から失くすことが果たして解決に繋がるのでしょうか
私は「カジノ(ゲーミング)」は、合法化された健全な産業であり、人を楽しませる、人類にとってなくてはならない娯楽の一つであるとの誇りを持って四十数年携わって来ました
今回、水原さんの事件を受けて教訓にすべきは、「依存症の対象となるものを一掃すべし」という議論ではなく、これを機に、何ものにも依存しない強い心を持てるようになる教育の必要性を社会が認識すること、依存症を個人の資質の問題と蓋せずに、娯楽を健全に適切に楽しめるようにするための正しい情報を広め、皆が知識を得ることだと思います
もう一度確認のために言わせていただきます
カジノは、現代社会に必要不可欠な、大人が楽しむための健全な娯楽です