高校の頃に暗記させられた『平家物語』の一節を、今でも時々思い出す。

あれは、なんともはかなく、そして美しい文章だと思う。

「この世のすべてのものは常に変化し、永遠に続くものはない。」

世の中は諸行無常。
大切なものも、いつかは失われるし、苦しみもまた、いつまでも続くわけではない。

悲しい出来事があったとき、「きっと時間とともに変わっていく」と思える。
逆に、幸せなときには、「今この瞬間を大切にしよう」と思えるようになる。

★★★★

 

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。

奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。

猛き者も遂にはほろびぬ、に風の前の塵におなじ。

 

祇園精舎の鐘の音には、諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。

沙羅双樹の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。

世に栄え得意になっている者も、その栄えはずっとは続かず、春の夜の夢のようである。

勢い盛んではげしい者も、結局は滅び去り、まるで風に吹き飛ばされる塵と同じようである。

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