長年、商品を買い続けてくださる優良客は会社にとって非常に大切な存在です。そんな優良客に喜んでいただける会員制度を設計することでより一層、リピートの強い事業にしていくことができます。


有名なところでは、航空会社のマイレージがありますが、利用頻度が多いお客様ほどお得なメリットが用意されていて、競合に浮気されないリピートの誘因として機能しています。


誰を優遇したいのかをまず考える


会員制度を設計する前に、そもそも自分達はどのようなお客様を優遇したいのかを考える必要があります。購入金額の多さ、購入期間の長さ、直近での購入の有無といった要素が考えられますが、自社の優良客を定義することが出発点になります。


化粧品通販のA社は、累計購入金額と購入期間の長さを重視した会員制度を設計しています。ランクがあがるにつれ、ポイント還元率が高くなる設計になっており、長く商品を利用し続けているお客様ほどメリットがあります。


健康食品通販のB社は、累計購入回数を重視した会員制度を設計しています。定期コースモデルなので、継続しているお客様は累計購入回数が多くなります。ランクが上がるにつれ、ポイントの還元率が上がるのと、お誕生日特典のクーポンの金額が高くなります。


わかりやすいルールと表現を心掛ける


お客様にとってわかりやすく直感的に伝わる設計が望ましいです。お客様にとってお得な設計でも複雑な条件がついていたり、表現がわかりにくいとメリットを感じてもらいにくくなります。


特に会員制度をお客様に紹介するツールのわかりやすさが重要です。会社側の担当者は制度を熟知していても、一般のお客様は詳しくないので少しでもわかりにくい表現をしてしまうとお得感が伝わりにくくなります。


総合通販のC社は、ご優待会員は「送料無料」「返品無料」という特典を目立つように表現しています。その上で、ご優待会員の中でもランクが上がるとさらに特典が増えることをわかりやすく説明しています。多くのお客様にとって魅力的な「送料無料」「返品無料」を最初に伝えることで会員制度への関心も高めることができています。


特別な権利もメリットとして提供する


ポイント還元や値引きだけがメリットではありません。特別な権利を与えることもメリットの1つになります。


ある観光施設では、最上位の会員はどんなに混雑している時でも入口に近い駐車場に車を止めることができます。ゴールデンウィークや夏休みの満車になる時期でも入口近くに止めることができ、便利さと共に優越感も味合うことができます。


プロ野球の日本ハムファイターズは、最上位ランクのお客様には一般発売の4日前からチケットを買う権利を付与しています。節目の多くのファンが見たい試合がある時に先行してチケットを買えるのは魅力的で、ファン心理を理解していることがうかがえます。


自社のお客様が何に対して喜ぶのか、業種や商品によって様々なはずです。ぜひ会員制度を新たに設計したり、見直したりする機会がある場合に、誰を優遇したいかとあわせて考えてみてください。

 

「友人紹介サービスの活用」こちらの記事も合わせてご覧ください。

https://tsuhan-soken.com/ec-column/new-customers/vol-36/

通販ビジネス参入1年目は明確な売上目標を持たなくても構いません。通販ビジネスで事業拡大を実現するためには、商品力、広告力、接客力の3つが揃わなくてはいけません。

商品力は顧客がその品質を認めリピートをしてくださること、広告力は反応が取れる広告表現が確立し、広告出稿をしたら安定的に反応が取れること、接客力は顧客のリピートにつながるフォロー体制や顧客サービスを充実させることを意味します。


 この3つが揃うまでというのは、売上金額は大した数字にはなりませんし、売上を重視して広告投資を増やしても、十分なリピートが得られませんので、少し長い目で見たら広告費の無駄使いで終わってしまいます。


 また通販ビジネスを始める前に立てた事業計画というのは、往々にして大きく現実と乖離するものです。新規獲得の広告の費用対効果もわからなければ、リピート率もわからない中で立てた計画などあまり意味はありません。


1年目に行うべきことは、商品力、広告力、接客力を高めていくことで、そのための試行錯誤に時間と費用を費やすべきです。特に広告力と接客力はその比重が高くなります。最初は顧客数が少ないからこそ、そこでしっかり新規客を獲得する力、そして顧客をリピートさせる力をつけなくてはいけないのです。


最初は「うちは100人しか顧客がいない。早く1,000人、10,000人にならないか」と願うものですが、あえてこう思ってください。「100名の顧客を満足させられなくては、1,000人、10,000人の顧客に満足を与えることはできない」と。顧客数を増やすことも大事ですが、そこに顧客満足度も伴うような努力を惜しまないでください。


初期段階では、売上金額は小さくて良いのです。重要なことは新規獲得、リピート獲得の勝ちパターンを作ることです。勝ちパターンができたら、予算の許す限り、投資を行っていけば、売上は急速に増えていきます。勝ちパターンができるまでは、小さく、コツコツ、勝ちパターンができたら大きく、大胆にという呼吸が大事です。

 

 

 

通販総研の辻口勝也です。

非効率な施策は他社が真似しづらいので差別化になります。ただ、通販業界の会社は日頃から数字を見て物事を判断することに慣れているため数字に強い会社が多いのが特長です。それ自体は他業界と比較して良い点ではあるのですが、一方で、数字で判断しづらい非効率な施策については、なかなか実施できないという点が課題としてあげられます。


島根県の玉造温泉にある化粧品販売店の姫ラボは全注文に対して、手書きのメッセージカードを同梱するという取り組みを長年行っています。SNS上でも受け取ったお客様の喜びの声を幾つも見ることができます。また、楽天のレビューを見るとメッセージカードへの言及が多く、お客様から高い評価を受けていることが確認できます。


現場スタッフ達が1枚1枚メッセージを書いている時に、その1枚の費用対効果というのは測る術はありません。しかしながら、継続して取り組むことで結果として高い評価を得ることができています。


熊本県にある再春館製薬所は全ての受注に対し、お客様から要望があれば個別対応をしています。「会社名の入ってない無地の箱で送ってほしい」「プレゼントにしたのでラッピングをしてほしい」「同梱物は不要なので送らないでほしい」などあらゆる要望に対応できる体制をとっています。


多くの会社を見てきた経験からですが、定期コースのない会社の方が、非効率な施策に取り組んでいる場合が多く見受けられます。1回の顧客対応でいかに喜んでもらうか、次のリピートが保証されていないので、より真剣に取り組んでいると考えられます。


会社の規模が大きい、配送を外部に委託しているなど、様々な制約条件は各社あるかと思いますが、非対面でお客様の顔が見えない通販だからこそ、手間をかけないとお客様の記憶に残ることはできません。


近年、お客様と直接会う機会(オンライン含む)を増やす通販会社が増えてきました。背景にはお客様のことをより深く知りたい、要望を直接聞きたいという想いがあります。数字からは見えてこないものを探っていくには、一見非効率な取り組みが大切になります。


非効率な取り組みは差別化につながります。独自性を追求して他社と差別化を図りたい会社はどのような取り組みができるか考えてみてはいかがでしょうか?

 

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通販総研の辻口勝也です。

 

意識を変えるよりも行動を変える方が短期的に成果につなげることができます。意識を変えるのは時間がかかりますが、行動を変えることはすぐにできるからです。


コンサルティングの現場で、経営者の方から意識改革についての相談を受けることがよくあります。自社の社員やリーダー格の人に責任感を持って「自ら考える力」を身につけて欲しいというのです。

そのような時は、教育の一環として、ワークショップを行うようにしています。他社の事例をヒントにして社員達に自社ならどんな取り組みが出来そうかと、自ら考えてもらうのです。


しかし、どんなに様々な事例をお伝えし、その場で考えてもらっても、実際に行動に移さなければ本当の意味で意識まで変えることは出来ません。また、実際のところ意識が変わったか否かを測る物差し自体が無いため、行動が変わらなければ意識が変わったかどうか判断することは難しいものです。

そこで、重要なのが、今すぐ出来そうな簡単な事からまず行動に移してもらうということです。


健康食品通販会社A社の経営者は、お客様とのコミュニケーション強化を社員の自発的な行動と工夫で図ってほしいと考えていました。そこで、他社の取り組み事例を伝え、その内容をヒントにアイデアを出すことにしました。その結果「こんなことをしたい」「もっと、こんな風にしてあげたら喜んでもらえるのでは」など、数多くのアイデアが出てきました。

工夫をしていないのではなく、情報のインプットが少なく、何をしてあげれば良いのかアイデアが浮かばなかっただけなのです。考えるためのヒントを与えることで、恒常化していた取り組みを見直すことができました。


また、化粧品通販会社B社では、休眠顧客に手書きのお手紙を送る施策を行いました。この施策に否定的なあるスタッフは当初は嫌々お手紙を書いていたのですが、お客様から直接「お手紙を頂いて嬉しくて購入のお電話をしました」という連絡が入り、そのことがきっかけでモチベーションが上がり、手紙もスムーズに書くようになりました。


始めは自らの意識で動いていなくても、行動することで、成功なり、失敗なり成果が出ます。その結果、上手く行けばさらに良い方向へ、失敗すれば、なぜ上手く行かなかったのか自然と考えるようになります。

意識が変わるのを待つよりも、まず行動に移すことで意識が変わっていくものなのです。社員の成長について課題を抱えている会社は、「まず行動を」を意識してみてはいかがでしょうか?

 

 

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通販総研の辻口勝也です。

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今回のブログではこの本の中から「しないことを決める」をご紹介します。

 

 

売上アップのための施策や商品開発のアイデアを考えるとき広い視野で物事を考えることは大切ですが、考える範囲があまりにも広すぎるとアイデアの発想や行動の弊害になることもあります。そこで、「しないこと」を決めることで、限られた条件の中から出来ることを考えだし、実行に移すことに役立てることができます。


 例えば、キャンペーンDMの施策一つをとっても、売上を上げることだけを目的にすると、多くの会社は値引きをして、購入のハードルを下げることで反応率、売上を上げようと考えます。しかし、「値引きをしない」というルールを作ることで、値引き以外の方法を使っていかにすれば反応を上げることができるかを考えるようになります。


 健康食品通販会社A社には、ツール制作において「他社の真似をしない」というルールがあり、独自性のあるユニークなツールを制作しています。通販業界は他業界と比べると他社情報が手に入りやすいため、安易に真似もしやすく、自社独自の新しい発想を生み出す弊害になります。A社のように「他社の真似をしない」と予めルールを作ることで、日々の生活の中からヒントを見つけるアンテナを立てる習慣ができ、結果、他社にはないユニークなツール作りを可能にしています。


 化粧品通販会社B社には、「むやみに商品を増やさない」というルールがあります。売上が伸び悩むと商品を増やせば売り上げアップに繋がると考えがちです。しかし、単品リピート型通販事業においては必ずしもそうとは限りません。経営資源を分散することで事業成長の妨げになることもあります。そこで、B社は通販事業立ち上げ当初から、集客のための広告予算や労力を1商品に絞ることで、事業を軌道に乗せることができました。


 化粧品通販会社C社には、「提案された広告をむやみに実施しない」という考えがあります。これは、自社なりの判断基準を持たずに、「○○という媒体の反応が良い」という話だけを鵜呑みにした結果、自社の商品と相性がよくないような広告や、現状にはそぐわない広告予算を投じた苦い経験があるためです。


 このように、「○○をしない」ということを具体的に決めることは、決して考えを狭めるのではなく、発想や行動の枠を広げることに繋がるのです。もし、最近画一的な考えが多くなったと感じていたら、自社なりの「しないこと」を決めてみてはいかがでしょうか?