邦題:道

88点。

 

邦題は原題を訳したそのままです。フェリーニ最後のネオレアリズモ映画で、ありのまま(写実主義)描いて見せた上での問題提起、人に考えさせる映画ですが…これは何だか毛色が違う様な気がする難敵ですね。いっちょやってみっか!
 
 
~あらすじ~
粗野な大道芸人ザンパノに買われた少女ジェルソミーナ。こき使われる彼女にとって
陽気な綱渡り芸人は心の支えとなる。ところが、ある日ザンパノはその芸人を殺してしまい……。
(※Filmarks映画より抜粋)
 
 
以下、ネタバレ。って言うか、感想。
 
 
□2009年発表、英エンパイア誌の「落ち込む映画ランキング」の第4位。
ネットでは鬱になるとか、二度と見たくないとか書いてあったけど、その人の経験によると思われる。でも、このテーマは出来るだけ若い内に見た方が良いのかも。
因みに第6位は「火垂るの墓」ですって。ふーん…?
 
 
□気付いたこと。お花を摘む描写からのアザミ。
「春は菜の花、秋には桔梗。」あたしは薊(アザミ)も綺麗だとは思うけど、例えられるのは後ろ向きな事ばかり。棘があるから嫌われる?それなら薔薇が好かれるのはおかしいわ??
 

 

 
↑"Rosa(ローザ)" はイタリア語で薔薇。彼女が生前に好んだ曲と私は断定する。
 
 
劇中でも、イル・マットから外見をアザミと揶揄われるけど、そもそも
"gelsomino(ジェルソミーナ)" はイタリア語で茉莉花(ジャスミン)。その香りは華やかで甘く、成分のジャスモンは合成での再現が難しい希少なもの。見た目も天使の様な愛らしさです。日本でも綺麗な女性を花に例えて
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。」と褒めそやすでしょう?そう、私の事だよ!でもね、容姿を褒められて嬉しくない人なんて居ないけどね。外見なんて骨と肉の構成でしかない。「名は体を表す」とは本来の意、その実体や本質のことを指し示していますので、女性を超えて、人間の中身としての比喩と見ます。
 
 
□そこまでフェリーニに愛される、この女優さんは何者なの?
調べたところ最愛の奥様でした。監督が病死するまで連れ添って、その5ヶ月後に後を追う様に亡くなっています。ジャスミンの花言葉は「あなたについていく」の意味もあるので、正に中身が茉莉花の様な人だったのかもと思いました。素敵です…。
 
 
□つまるところこの映画って。
ネオレアリズモの観点から見たら、大事なものは失ってから気付くという事が教訓と言えます。けど、そんなの皆解ってます。これは、不器用で時代錯誤の(当時はそうだったのかも)監督から、最愛の奥様に宛てたラブレターだった。が私の解釈です。
だってね?私の#これがないと生きていけないものの構成と似通っているんだもん。
 
その観点で見ていくと、全ては本当に二人にあった事を形を変えて描写してて、結末は監督の不安を形にしたものだと解します。目下、監督は奥様にちゃんと愛してるって言ったかどうかに興味がありますけど、ま、お二人の物語ですからねー。監督自身が当映画を宗教的な解釈でもって広めていた様だけど(参考にしたのは間違いないっぽいけど)、私は勝手に監督の照れ隠しだと思い込んでいますよ。ウフフ。
 
 
 
 
□じゃあ何で殿堂に入れないんだってばよ!
え。だって、20年後にはこの映画、誰にも理解出来なくなりそうだから。70年経った今でも現代人の心を打つのが既に奇跡ではあるけど、今がギリギリの境目でしょう。
ポリコレ棒で叩かれて頭がおかしくなった作品が氾濫する今では、多角的な考え方は流行んないと言うか、許されなくなっていますから。世にも奇妙な物語の
「最後の喫煙者」の煙草よろしく、闇取引されるタイトルになるかもね。
 
 

大事な人にはもっと素直になって良いんだよ。後悔する前にね。

 
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