競馬というのは血のロマンだ。
あらゆるサラブレッドの血統は3頭の始祖にまで辿ることができ、そこに至るまでのすべての先祖が明らかになっている。ある馬にどんな名馬の血が流れているか一目瞭然なんだ。
そして、そこにその馬自身の血が加わっていく。応援していた馬の子がデビューし、またその子を応援する。そういう楽しみ方が出来るのが競馬だ。
そういう夢はあの大欅の向こうに消えてしまった。あそこで失われたのは、単に一頭の競走馬ではなく、そうした未来そのものだった。
「ウマ娘」は、血統ではなく「想い」というシステムを採用している。彼女たちはかつての名馬たちの「想い」を受け継いで走っている。そして、育成したウマ娘の「想い」がまた、次の世代に受け継がれていく。
それは単にシステムだけではなく、「ダビスタ」や「パワプロ」といった名作ゲームのシステムを継承し、そこに「アイマス」の装いを加えたこのゲーム自体の構造を示しているように思えた。
そして、「想い」というシステムにしたことで、「サイレンススズカ」の名を冠したウマ娘がここにいることを、そしてその想いが受け継がれていくことを、確かなこととして受け取ることが出来た。
たしかに子は為すことはなかったけれど、その姿を覚えている人は居て、そしてこういう形で僕らの前に現れた。それはif(偽史)じゃない。「想い」という次元では確かな真実なんだと、そういう風に思えた。
Vol.05「サイレンススズカ」【トレセン学園生徒紹介】