大欅の向こうに消えた夢(再掲) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

(2011年3月7日の記事)

 

かれこれ10年以上昔のことになる。

 

当時、ぼくは競馬が好きだった。

 

 

まだ未成年だったから

 

お金なんて賭けたことはなかったけれど、

 

ただ観ているだけでも充分に楽しかった。

 

 

緑色に輝く一面のターフ。

 

躍動する馬たちのしなやかな四肢。

 

競馬というのは美しいスポーツだ。

 

ドガやデュフィは競馬をモティーフにして絵を描いた。

 

その気持ちは良く分かる気がする。

 

 

夏には北海道で牧場めぐり。

 

雨に霞む放牧地、今でも忘れられないのは、

 

屋根の下で静かに佇んでいたトウカイテイオーの姿。

 

「馬にも気品があるんだな」

 

そう思ったあの夏。

 

 

当時、家族でPOGをやっていた。

 

POG(ペーパー・オーナー・ゲーム)は、

 

仲間内でそれぞれの持ち馬を決めて、

 

その合計ポイント(獲得賞金など)を競うゲーム。

 

大体、1人が10頭くらいを所有するのが一般的。

 

 

その馬「サイレンススズカ」は僕の馬だった。

 

 

サイレンススズカ ー 金鯱賞(YouTube)

 

↑は彼が生涯で最高の走りを見せたレースです。

 

 

美しい馬だった。

 

 

あの柔らかい体。

 

出走ゲートを潜り抜けて脱走した。

 

たぶん、前代未聞だったんじゃないかな・・・

 

聞かん気で、ヤンチャで・・・天性の逃げ馬だった。

 

 

異次元の走り。

 

圧倒的なスピードで他を寄せ付けず、

 

そのまま直線に入って逃げ切ってしまう。

 

「他の馬なんてボクには関係ない」

 

そういう風に走った。

 

 

彼と一緒なら、

 

このままずっと地上を離れて、

 

何処までも飛んで行けるような、

 

そんな気がしていた。

 

 

あの秋の日。

 

あの大欅の向こうで、

 

すべてを置き去りにして・・・

 

彼はホントに天国へ行ってしまった。

 

 

叶えられなかった夢を抱えたまま

 

ひとり取り残された僕は、

 

それ以来、競馬を観なくなった。

 

そういう話。

 

 

今でも、弟は競馬を観ている。

 

そんな弟に僕がひとつだけ頼んでいることがある。

 

「あれくらい圧倒的な逃げ馬が出てきたら教えて」

 

あれから10数年。

 

未だに、その願いは叶えられていない。

 

 

サイレンススズカ(1994-1998)