ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie(4.5) | 想像上のLand's berry

想像上のLand's berry

言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow 
 
監督:酒井和男
 
概要
 学校で結成されるアイドルグループのメンバーをメインキャラクターに、テレビアニメやCDなどメディアミックス展開するシリーズの劇場版アニメ。浦の星女学院のスクールアイドル「Aqours」が、頂点を極めた後の物語が描かれる。監督は、本シリーズのテレビアニメ版を担当した酒井和男。ボイスキャストも、伊波杏樹、逢田梨香子、諏訪ななからシリーズおなじみの面々がそろう。(シネマトゥデイより)
 
「ラブライブ・サンシャイン!!」
 こう言っちゃなんだけれど、「ラブライブ・サンシャイン!!」2期はメチャクチャI.Qが低かった。特に、ワゴンが空を飛んだ回は、キャラクターやそれを取り巻く世界そのものが幼児退行したかのようだった。
 
 ただ…それは必ずしも悪いことだと僕は思っていない。
 
 世界そのものが幼児退行する作品としては、『崖の上のポニョ』を挙げることができる。近年ではさらに、『アナと雪の女王』『ラ・ラ・ランド』『ベイビードライバー』『グレイテスト・ショーマン』『ボヘミアン・ラプソディー』と続く「音楽的映画」の系譜がある(ここに『君の名は』を入れてもいい)
 
 これらの共通点は、ストーリーにはツッコミどころがあるなど、映画を「文学」として捉える評価基準では採点が低くなるけれど、映画を「音楽」として捉える評価基準では採点が高くなるという点だ。単純に言って、見ていて心地よい映画なんだよね。「ラブライブ・サンシャイン!!」もまた、そうした作品のひとつと言ってよい。
 
 僕はむしろ、こういう作品の擁護者でありたいと思う。
 
『ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow』
 冒頭、フォトセッションなるものが始まる。ライブビューイングなどでも見かける撮影タイムみたいな感じ。おそらく、各回ごとにキャラクターが変わる。リピーター狙いの戦術なのだろう。ただ、静止画を撮っても面白くないなあと。動きがあるから出会いがある。偶然が生まれる。その時その瞬間その人にしか撮れないものがそこになければ、撮影する意味はさしてない。
 
 その後に「鑑賞上の注意」として、映画が始まる前にも云われるようなこと――携帯の電源を切るだの、前の席を蹴らないなど――が繰り返される。これ、対象年齢は小学生かな?(←) これもたぶん、かなり意図的にやっていて、そこであえて対象年齢を下げることで、そうした世界に引き込んでいく。
 
 作りそのものは、この手の映画にありがちな、TV版スタッフへのご褒美も兼ねた海外ロケを活かしたもの。ほとんど何らの意味もなく主人公たちはイタリアへと出かける。
 
  無印「ラブライブ」の劇場版よりは筋が通ってるかなと。無印「ラブライブ」の劇場版は酷い映画だった。ドラマで示した問題をもういちど持ち出した上に、何らの進展もなかった。
 
 この「ラブライブ・サンシャイン」の劇場版で持ち出される問題もまた「ラブライブ」と通じている。それはつまり、3年生が学校を卒業してしまうということ。そして、①9人で続けることを選択するならば、「スクールアイドル」ではなくなってしまう。②「スクールアイドル」であることを選択するならば、9人ではなくなってしまう。
 
 いずれにせよ、「ラブライブ」の根幹は維持できない。ゆえにそれ以上は物語を続けることが出来ない。実際、無印「ラブライブ」はそうして終焉を迎えた。それ以上、物語を語らないという選択をすることで、そこに封をしたんだ。
 
 「ラブライブ・サンシャイン」の結論も、たぶんそんなには変わらない。最終的には抽象的な処理にしてしまっている。
 
  ただ、そのひとつ手前の描写で、一歩進んだようには見えるところがあって。これまでの安全な「水槽の世界」から、踏み出していこうとする一歩がきちんと描かれていた。そこを描いたのは、それなりに勇気のいる決断だったように思う。観客に「男」が描かれていたことも、「水槽」の外の世界があるのだというリアリティをこの映画に与えていた。
 
 とは言え、この作品の魅力は、そういうところよりも、やはり単純に「見ていて楽しい」というところにあるだろう。沼津/ヴェネツィア/フィレンツェという具体的な土地を舞台に展開される歌いっぱい元気いっぱいの喜劇。
 
 僕はなんとなく、往年のクレージー映画を思い起こしていた。ハチャメチャで型破りで、そして歌に満ちている。
 
☆☆☆☆★(4.5)