あの子は、ぼくが思っているよりずっとしっかりしていて、ずっと芯の強い子なんだよね。でも、その強さに甘えちゃいけないんだってぼくは思う。
彼女を初めて見たのは何年か前のチームE公演。
当時はまだ研究生で、研究生二分間MCに登場していた。
お見送りの時、ポツンと離れて佇んでいたのが印象的だった。
儚く可憐な一輪の白い花。
「立てば芍薬座れば牡丹」…そんな言葉を連想した。
彼女は美しかった。
氷のような賢さと心根の優しさ、そしてガラスのような危うさがあった。
頼むから、誰もあの花を踏んでくれるな…そう祈るような気持ちでいつも眺めていた。
たった一度だけ行ったS公演では、僕はそっと紫の推しサイを振った。
奥手なパフォーマンスは、どんな前のめりなパフォーマンスよりも彼女を際立たせていた。
頼むから、誰も彼女を壊さないでくれ…。
総選挙の速報で9位に飛び込んできたのは驚いたし、本当に嬉しかった。
これできっと大丈夫…。
そう思えた。
総選挙後ほどなくして、花は折れてしまった。
きっと、一回ハケるたび、一日休むたびに、心の重荷は増えていき…
か細いガラス製の幹はいつしか、その重みに耐えられなくなってしまった。
…のか。
SKEを離れてしまった今の僕には、もう何を言う資格もない。
目を瞑れば、思い起こすのはあの子が笑っている姿ばかり。
僕がSKEで過ごした最後の時間にはひゅーちゃんの思い出が詰まっている。