日日是好日
監督:大森立嗣
概要
茶道教室に通った約25年について記した森下典子のエッセイを映画化した人間ドラマ。母親の勧めで茶道教室へ通うことになった大学生が、茶道の奥深さに触れ、成長していく姿を描く。メガホンを取るのは『ぼっちゃん』などの大森立嗣。主人公を『小さいおうち』『リップヴァンウィンクルの花嫁』などの黒木華、彼女と一緒に茶道を学ぶ従姉を『ピース オブ ケイク』などの多部未華子、茶道の先生を『わが母の記』などの樹木希林が演じる。(シネマトゥデイより)
感想
冒頭、「小さい頃、フェリーニの『道』という映画を見た。どこが面白いかわからなかった」というモノローグが入る。その瞬間ぼくは、「うわ…この映画(日々是好日)キライだわ!」と思ってしまった。
だってこれ、結局は『道』を肯定する話になるわけでしょ。「茶道」とか『道』は境界の向こう側にあって、この主人公はやがてはそこへ行きつくわけだ。それをわざわざ否定から入る、その持って回った感じがまずもってキライだ。
…し、そこに持ってくるのが『道』ってのも、もうどうしようもなくセンスが感じられない。『道』を否定したいわけじゃなくて、そこに『道』を置くってそのセンスがね(原作者は50年代生まれだからまだ理解できるけれど、劇中設定では70年代生まれになっているから、その時点でまず『道』の選択に違和感がある)
メインキャストの三人は大好きだ。黒木華、多部未華子、そして…樹木さん(樹木さん見ると泣きたくなる)。ただ、同じ樹木さん出演作でも、たとえば河瀨直美監督のような映像の繊細さや、是枝裕和監督のような日常の生々しさは感じられない。どこかウソのある、「作りもの感」のあるヌルい映像。
この「作りもの感」は、映画全体の構造からも感じられた。もとが自伝だからか知らんけれど、「茶道」と「人生」とを安易に結びつけるその手付きは、あまりに「わざとらしく」見えた。この映画が謳い上げようとする複雑さとは裏腹の単純な構造が、この映画の底の浅さを際立たせている。
物語が進むに連れ、黒木華の所作は洗練されていく。でも、映像そのものは何にも変わらない。カメラワークの所作は変わらず品がなく、構図も引き締まっていかない。これじゃあ、表現として成立していない。どこか「茶道」のPVを見せられているような気分になる。後半、多部ちゃんが画面からいなくなると、ぼくにとっては地獄のような時間が続いた。
こういう映画を褒めるのは、あまりに簡単だ。いかにも「良さげ」に作ってある。でも、ただ「良さげ」に作ってあるだけだ。真に良い映画だとはまったく思わない。
☆☆★(2.5)