ペンギン・ハイウェイ(5.0) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
ペンギン・ハイウェイ 
 
監督:石田祐康
 
概要
 「夜は短し歩けよ乙女」などで知られる作家・森見登美彦の小説を映画化したアニメーション。小学生の少年が、海のない街に突如現れたペンギンの謎を解こうと奮闘する。主人公の声をドラマシリーズ「バイプレイヤーズ」などの北香那、彼が慕う女性を蒼井優が担当。アニメーション制作会社「スタジオコロリド」が制作し、短編『陽なたのアオシグレ』などの石田祐康が監督を務めた。(シネマトゥデイより)
 
感想
1.
 小4の目には、世界は未知のもので満ち溢れている。お姉さんもおっぱいも。宇宙もペンギンも。「ぼくはたいへん頭が良く、しかも努力をおこたらずに勉強するのである。だから、将来はきっとえらい人間になるだろう」という冒頭のセリフを聞いた瞬間、この作品は好きだと思えた。
 
 森見作品と云えば、あの不思議な空気感が特長だ。この作品もそれは例外じゃない。「ペンギン」という語のかわいらしさに惑わされていると、この作品を見誤るかも知れない(実際、小さい子が見に来ていたけれど、途中で泣き出していた)
 
 この作品を一言で言い表すならば「不思議系純愛ジュブナイルSF」だ。一言…なのかそれは? まあ、良いか。「純愛×SF」という点でぼくが連想したのは『インターステラー』だった。そこにさらにジュブナイル要素や不思議要素まで加わっている。どこか「ドラえもん」映画のようでもあるし、「クレしん」映画のようでもあるし、宮崎映画のようでもある。
 
 それだけ盛り盛りにすると、普通はバランスが崩れたり、ただの劣化コピーになったりするものだけれど、これはちゃんと作品として成立している。原作がしっかりあることで、世界観に一本筋が通っている。今年、アニメ映画はいくらでも出てくるだろう。でもこれは…断言してもいい。今年のアニメ映画で、これを上回る作品はひとつも出てこない。
 
2.
 そもそも、原作:森見登美彦×脚本:上田誠と云えば、ぼくが大絶賛した『夜は短し歩けよ乙女』のコンビだ(上田さんはそれ以前に、僕の大好きな「ヨーロッパ企画」の主宰でもあるわけだけれど)。
 
 そして監督は石田祐康。まだ若い監督だけれど、彼が制作したショートアニメは出来が良く、このブログにも載せたことがある。さらにこの作品は、『冴えカノ』の監督:亀井幹太が演出を務めている。亀井演出に関しても、以前にちと触れた
 
 つまるところ、この作品の制作陣は、僕的にオールキャストなんだ。若手監督の場合、才気はあっても丁寧さに欠けていたり、底が浅かったり、痒いところに手が届かなかったりするものだけれど、この作品にはそういうところがない。
 
 石田監督ならではのスピード感のある画作り。亀井演出ならではのキャラクター描写。上田脚本のどこか「抜けた」味わい、お祭り的な盛り上がりと祭りのあとの寂寥感の劇的効果。森見作品の…一筋縄ではいかないあの不思議な空気。それらが相互に補完し合って、奇跡のようなバランスを生み出している。
 
 メインキャストに「非声優」を起用するという批判されがちな声のキャストも、ここではうまくいっている。とくに蒼井優さんが良い。俳優陣の中に混じってウチダ君を演じた釘宮理恵さんの「あの声」の存在感も素晴らしい。
 
 間違いない。これは今年ベスト。
 
☆☆☆☆☆(5.0)