万引き家族(4.5) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
万引き家族
監督:是枝裕和
 
概要
 『誰も知らない』『そして父になる』などの是枝裕和監督による人間ドラマ。親の年金を不正に受給していた家族が逮捕された事件に着想を得たという物語が展開する。キャストには是枝監督と何度も組んできたリリー・フランキー、樹木希林をはじめ、『百円の恋』などの安藤サクラ、『勝手にふるえてろ』などの松岡茉優、オーディションで選出された子役の城桧吏、佐々木みゆらが名を連ねる。(シネマトゥデイより)
 
 
感想
 パルムドール。どこを見てもパルムドール。オープニングもパルムドール。予告もパルムドール。こういう作品は評価するのが難しい。すでに「名作」だという評価が権威筋から出てしまっている。それに乗るにせよ乗らないにせよ、どちらにしてもフラットな立場じゃいられない。ベイベー。
 
 変なテンション。
 
1
 この作品は言ってしまえば、是枝リミックス。あるいは是枝ベスト版だ。これまで一貫して家族の成立しない時代の「家族」を描いてきた是枝さんの想いが詰まっている。
 
 「家族」のそれぞれを描いた場面は、これまでの是枝作品のどれかを思い起こさせる。ただ、それぞれがいまひとつ有機的に絡み合っていかない。だから、この家族はどこか寄せ集めのようで、本当の家族というより「家族ごっこ」をしているように見える。そして、それこそがこの映画の真の主題なんだ…という気がする。
 
2
 「万引き」というキャッチーなタイトルから、善と悪の対立、倫理観の話を連想するかも知れない。でも、ここにあるのは、小さな悪と悪だ。こうして身を寄せ合って生きていくしかない人たちがいる。社会の中に彼らが生きていけるだけの「隙間」はあるのか…というその「現実」が描かれる。
 
 ただ、この「現実」はどこかおとぎ話のような肌触りを持っている。本当の貧しさとか、本当の悪はここにはない。
 
 とりわけおとぎ話の薫りを漂わせているのは、松岡茉優のパートだ。だって…松岡茉優だよ? いま日本でいちばんの若手女優だよ?(当社比)それはさておき。松岡茉優の存在は、ともすれば土と雨の匂いしかしないこの作品に、清涼な風を吹かせていることも確かだ。
 
 散りばめられた物の存在感。フィルムのグレイン。樹木希林にリリー・フランキー。いつもの是枝節。子供たちの眼差しが印象に残る。
 
☆☆☆☆★(4.5)