WINDS OF GOD (1995) | 想像上のLand's berry

想像上のLand's berry

言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


WINDS OF GOD (1995)

監督:奈良橋陽子

概要
 現代に暮らす売れない漫才師コンビが交通事故のショックで第二次大戦中にタイムスリップ、神風特攻隊の隊員となった二人は、やがてそれぞれ別の道を歩むことに……。絶賛された舞台劇を、舞台演出を手掛けた奈良橋陽子監督により映画化。(allcinema ONLINE)

感想
  近ごろ、さる事情(というか勉強)で戦時中に制作された映画をやたらと見ている。あの時代の映画と現代の映画と、どこに本質的な差があるのかぼくにはよく分からん。それぞれの時代にそれぞれの価値観があって、それらはその時代の中では正しいものとして映る。

 戦後的なヒューマニズムを振りかざす主人公…というのは、あの戦争を描いた(戦後の)映画では散々っぱら見かける。『WINDS OF GOD』もそれは例外じゃあない。でも、この手の映画のなかでは、これは珍しく「嘘」をついていないと思える。

  それは、ちゃんと時代の距離が現れているから。

 「現代人」がタイムスリップしたという設定によって、主人公の戦後的なヒューマニズムはきちんと回収されている。彼と特攻隊員たちの距離はそのまま、現代人とあの時代の価値観の距離を現している。打ち解けるように見える瞬間もあれば、深い溝があるように見える瞬間もある。現代とあの時代の間を揺れ動く山口粧太の演技が出色だ。

 彼はいま何をしているんだろう…。

 ぼくにとって…ぼくにとって『WINDS OF GOD』は何より90年代の映画だ。もう何度見たんだろうな…。90年代…というのはもう20年以上も前になる。1995年を「現在」として捉え、1945年を「過去」として振り返るこの映画も、20年以上を経た現在から見ればそれ自体が過去に属している。今井雅之さんももう亡くなってしまった。

 ぼくは時々、自分が2010年代に生きていないんじゃないかと思えることがある。90年代で止まっているんじゃないかって。時を追うごとに、この映画を見るぼくの眼差しにノスタルジーの色彩が加わっていく。

 いまでも掛け値なしに素晴らしいと思えるのは、はじめて二人が飛行するシーン。大空を舞うことの心地よさ。あの瞬間はすべてを越える。