ドリーム(3.5) | 想像上のLand's berry

想像上のLand's berry

言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
​ドリーム
HIDDEN FIGURES
 
監督:セオドア・メルフィ
 
概要
人種差別が横行していた1960年代初頭のアメリカで、初の有人宇宙飛行計画を陰で支えたNASAの黒人女性スタッフの知られざる功績を描く伝記ドラマ。NASAの頭脳として尽力した女性たちを、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』などのタラジ・P・ヘンソン、『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』などのオクタヴィア・スペンサー、『ムーンライト』などのジャネール・モネイが演じる。監督は『ヴィンセントが教えてくれたこと』などのセオドア・メルフィ。ミュージシャンのファレル・ウィリアムスが製作と音楽を担当した。(シネマトゥデイより)
 
感想
 型にはまった作品という印象。せっかく、「hidden figures」ってタイトルなのに、その隠れた人々の細部に踏み入るんじゃなくて、典型的な物語に当てはめてしまっている。構造的には、まるで「エースをねらえ」だか「アタックNo.1」だかって感じ。才能のある人が、周囲に虐げられつつも、それにもめげずに頑張る…っていう。
 
 もちろん、実話が「ベース」になっているわけだし、彼女たちが苦しんだのもたしかだろう。その中で頑張ってきたことの凄さ。でもね…この映画からは、その本当の姿が伝わらない。ありきたりの、「作られた物語」に見えてしまう。
 
 たとえば、キルスティン・ダンストやジム・パーソンズが演じるオリジナルキャラクター。「障壁」として描かれた典型的な人物造形。分かりやすさを求めているのは分かる。だけど、これじゃあまるでスポ根マンガだよ。「ヒーロー」ジョン・グレンも、(血の通った人物というより)ほとんど記号でしかない。
 
 非常に印象的なトイレのくだりや、裁判所で演説をぶち上げるくだりも、グレンのくだりも、(歴史的背景を踏まえているとはいえ)実際とかなり違うらしいじゃない*。分かりやすくするためだとしても、あれも記号これも記号で、結局、本物の手触りがなくなっている。しまいには、「ああ、この人たち演技しとるわ…」としか見えなくなる。
 
 似たようなことは、チューリングやホーキングの映画にも感じた。けれどこの映画でそれが致命的だと思うのは、やっぱりhidden figuresだから。これまでフィーチャーされてこなかった彼女たちを掬い上げるのに、網目を細かくする(ひとつひとつのエピソードを丁寧に掘り下げる)のではなく、既存の物語に当てはめて語ってしまう。それではかえって、彼女たちの真価がわからなくなるのではなかろうか。
 
☆☆☆★(3.5)