トリガール! (2017)
監督:英勉
概要
「100回泣くこと」「デビクロくんの恋と魔法」などで知られる作家・中村航の小説を実写化した、青春ラブコメディー。ふとしたはずみで人力飛行サークルに入会した女子大生が、2人の先輩の間で揺れ動きながらコンテストに挑む。メガホンを取るのは、『ヒロイン失格』などの英勉。『orange-オレンジ-』『青空エール』などの土屋太鳳が、毒舌キャラのヒロインを快演する。笑いとときめきが詰まったストーリーや、爽快感に満ちた飛行シーンの数々が魅力。(シネマトゥデイ )
感想
「鳥人間コンテスト」は毎年欠かさず見ている…というわけじゃない。近年はとくに、なんでもかんでもパイロットの人間ドラマを押し出すような日テレ(読売テレビ)の姿勢が見てられない。ぼくが心を打たれるのはむしろ、設計のアイデアだったり、ギリギリの強度計算だったり、機体のメンテナンスだったり、そういう裏方の仕事。
この映画。つまらない…だけじゃなく、おかしいと思う。
冒頭、大学へ向かうバスのなか、「メガネ」をかけた学生たちに囲まれる土屋太鳳。別になにをされるわけじゃない。ただ単に「メガネ」に囲まれたってだけで、彼女はバスを飛び降りてしまう。たしかにさ…身内で言い合っている分には面白いかもしれないよ、そういうネタ。あるいは、マンガだったら成立するかもしれない。
でも、僕はこの時点ですでに帰りたくなった。だって、彼ら(理系メガネ)こそが、飛ぶことを支えている=アンサング・ヒーローなのに。それをこういう風に「ディスる」以上、あとでそれに応じるようなカッコよさが描かれなければ、映画として成立しない。でも…それ描かれないんだよ、これ。信じられないことに。
しかもね、パイロットはこぞって美男美女。それに対して、エンジニアはみんなヲタメガネ(女の子:佐生雪だけは可愛いけれど)。それもなんかな…。
まあ、映画的には外見の問題は仕方ないかもしれない。でもね、肉まんくん(矢本悠馬)なんかは『ちはやふる』や『君の膵臓~』でもたしかに3枚目役だったけれど、「あ…こいつメッチャかっこいいな…」って思えるシーンがあった。この映画にはそれがない。
この映画からは、飛ぶことに対する…飛行機作りに対する…鳥人間コンテストに対する、それに関わっている人に対する、敬意や愛が感じられない。明らかに笑いを狙っているシーンはいくつもあるのに、それが全然笑えないのは、間を外していること以上に、そうしたものが感じられないから。
それに輪をかけているのは、土屋太鳳さん。ああいう「ディスり」をしても、許されるタイプっていると思うのね。でもね、この子、ぜんぜん駄目なんだよ。ただ嫌らしいだけで、感情移入できない。魅力的に感じられない。後半、汗をかくシーンではそれなりに映えるんだけれどね。
もちろん、主人公に感情移入できないというのは、脚本と演出の問題でもある。映画全体を通じて、主人公の動機がほとんど見えない。なぜそうしようと思ったのか、なぜ感動したのか、なぜそんなに熱くなっているのか、それまでの積み重ねがほとんど描かれないから、感情の変化についていけない。
劇伴もサイアク。このシーンは「爽快」、このシーンは「悲しい」みたいに、すべてが記号的で、まるで「このシーンはこういう感情で見よ」と指示されているみたいだった。この監督さん(英勉)、『ヒロイン失格』では割りと良い仕事をしていたと思うけれど、今回はテーマが合わなかったのか…
キャストでは池田エライザさんが圧倒的。もう…ちょーカワイイのな。土屋太鳳が「本当にかわいいね~」と言うシーンがあるのだけれど、この主人公に共感できたのそこだけだった←
☆☆★(2.5)