メッセージ(4.5) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
メッセージ 
ARRIVAL
 
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
概要
 テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を基にしたSFドラマ。球体型宇宙船で地球に飛来した知的生命体との対話に挑む、女性言語学者の姿を見つめる。メガホンを取るのは、『ボーダーライン』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ。『ザ・マスター』などのエイミー・アダムス、『アベンジャーズ』シリーズなどのジェレミー・レナー、『ラストキング・オブ・スコットランド』などのフォレスト・ウィテカーらが結集する。(シネマトゥデイより)
 
 
感想
 ぼくが常々思っていることがある。
 
 たとえばラリー・ニーブンの『リングワールド』のようなシンプルな(かつ強固な)SF作品が映画には少ないのは何故だろう。これだけCGが発達して、映像化できないものはもう何もない…と言いたいような状況なのに、子どもの頃に空想したようなSF世界は断片的にしか映像化されていない。
 
 『メッセージ』は、ぼくのそんな空想をわずかばかり叶えてくれた作品だ。大筋としてはオーソドックスなファーストコンタクトもの。『未知との遭遇』に比べると、よりコミュニケーションの部分に時間が割かれている。
 
 宙から降ってくる巨大な物体は、『2001』の「モノリス」よりはむしろ、『ゴジラ2000 ミレニアム』に出てきたUFO。ただ、いかにもCGだった「ゴジラ」に比べて、しっかりとこの世界に存在しているように見える。だからこそ、その異質なサイズが非日常になった空間を演出する。
 
 技術的な面だけじゃなくて、見せ方もうまい。最初は主人公の日常生活と、そこに飛び込んでくる不鮮明なニュース映像。主人公が現地に移動するとと共に、ヘリからの空撮ではじめて「生」の巨大物体が見えてくる。まるでミニチュアのようなキャンプベースと、非現実的なサイズの巨大物体。はじめに「日常」の部分を描いているからこそ、このあまりに非現実的な巨大な物体が、まさにそこに降りてきたのだ…と感じさせる。
 
 自然光を活かした映像も良い。その自然な手触りの光は、巨大物体の人工感(というのも変だけれど)と対を成している。自然光のそよぐ空気と水と草木の感覚は、この大地に降り立った宇宙的なものの異質さを浮かび上がらせる。語り尽くされた感のあるジャンルだけれど、説得力のある映像によって古さは感じさせない。
 
 時間の組み方とか、知性と感性の組み方とか、あるいは仄かに感じさせる切なさとか、どことなくクリストファー・ノーランを思い起こさせる秀作。ケチをつけるところがあるとすれば、この物体によって世界中が疑心暗鬼に陥るというところの必然性が弱いかな…。
 
☆☆☆☆★(4.5)