ソール・ライター展

ソール・ライターは世界のほんの片隅にも、小さな小さなドラマを見い出す。路上に佇む紳士の帽子に、隣の車両で眠りこける青年の頬に、わずかに光が当たっている。そんな小さなドラマが彼の写真には満ちている。決して大声で叫ぶわけではない。小さな小さなドラマが、彼の写真をこれほど実り豊かなものにしている。
浮世絵に影響を受けたという大胆な構図。どこか広重を思わせる、傘をさした人を俯瞰で撮った写真。

じつは(別に意識したわけではないけれど)これと似たような写真をぼくも撮っている。ただ、彼の写真の方が、細部において遥かに豊かで、色彩においてずっと鮮烈だ。それは当然なのだけれど…でも、悔しい…と思えることが、「まだ僕は死んでいない」という気持ちにさせる。
近年の写真展のなかでも、出色の展覧会。渋谷Bunkamuraミュージアム、6月25日(日)まで。