「エスパー魔美」ともとひら回 | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


「エスパー魔美」ともとひら回

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 今回はAmazonプライムで配信中のアニメ『エスパー魔美』で…ござります。原作はご存じ藤子F先生。1978年から1983年まで連載され、1987年から1989年までTV放映されました…と( ..)φ

 小さい頃に見ていた筈なんですが、なんだか妙に怖かった記憶しか残ってなくて。改めて見返してみると、色々と驚きが…。

 まず、14歳の魔美が、画家であるお父さんのヌードモデルをしているという…現代だったら絶対にアウトだろうっていう設定…まあ、しずかちゃんのお風呂みたいなもんでしょうが、藤子F先生ぶっ飛びすぎっす(^_^;)

 そんなこんなでいきなり度肝を抜かれちゃったわけですが…それはともかくとして、なかなか良いんですよね。なにげに良エピソードが多いです。とくに印象的なのが、もとひら了さんの脚本回。

 『ドラえもん』でもお馴染みのもとひらさん。大長編『パラレル西遊記』では、のび太たちがクラスでやる劇の脚本担当としてクラスメイトの「モトヒラくん」なんてキャラクターが登場してましたが…

 そんな話は置いておいて、もとひらさんの脚本で印象的なのは、明確な「許し」の構造が見て取れることです。たとえば16話「魔女・魔美?」

 このエピソードでは、魔美に脅迫文の濡れ衣が着せられます。実際にはこの脅迫文はクラスメイトの日上さんのしわざです。日上さんは野球部の竹長くんに想いを寄せているのですが、彼は幸子と仲が良いのです。で、日上さんは幸子の部屋に盗聴器を仕掛け、その内容をもとに幸子に(竹長くんと仲良くするなという)脅迫文を送っていたのです。

 濡れ衣を着せられ、周囲から白眼視される魔美。ここで登場するのが、魔美のボーイフレンド高畑くん。頭脳明晰な彼は、幸子の部屋に盗聴器が仕掛けられたことを見抜きます。受信テストの結果、受信範囲は約100m(原作だと300m)。魔美の家は1km離れているので、彼女は犯人ではない…と、高畑君の推理が冴えわたります。

 問題はここからです。原作では、高畑くんがスイッチを切ったことで、盗聴器の調子がおかしくなったと思った日上さんが幸子の部屋で盗聴器を探っているところを発見される…という衝撃的なコマで終わります。これはこれで藤子先生らしい不穏な終わり方なんですが…↓


 アニメではこのくだりが少し異なっています。高畑くんは、盗聴器のスイッチを切らずに、3人(魔美/竹長/幸子)の前で自説を披露します。当然、これは日上さんも自分の部屋で盗聴して聴いています。高畑君は言います。「これは、約100m以内に住み、この部屋によく出入りしている人物のしわざだ」

 「犯人の心当たりはあるかも知れないけれど…できたら、これ以上、犯人さがしをしないでもらえないかな。きっと、もうこういう盗聴はないと思うんだが…」これに対して、魔美たち三人は「分かったわ」とうなずきます。そうして破壊される盗聴器。自分の部屋で涙を流す日上さん…。

 次の日、謝ろうとする日上さんに対して、幸子は「急がないと遅刻しちゃうよ」と( ..)φ

 これ、悪事を暴いて、ギャフンと言わせて謝らせる=悪い奴に罰を与えてスッキリみたいなカタルシスを回避しているんですよね。違う回でも、魔美の部屋を監視したり無言電話を繰り返す隣の陰木さんに対して、別に「罰」は与えられません。

 (追記:「罰」ではなく、むしろ「救い」を与える)

 子供向けのアニメで、こういう作劇をしていた…ということが割りと驚きで。もとひらさん、のちに浄土真宗の僧侶になられた(もともと実家がそうだったのかな?)そうで、なんかそれ、『エスパー魔美』のもとひら回を見ると分かるなあって。

 そんなことを思ったわけです。