聖の青春
2016年
監督:森義隆
概要
29歳の若さでこの世を去った天才棋士・村山聖の生涯をつづる大崎善生のノンフィクションを、松山ケンイチ主演で映画化。幼いころより患う難病と闘いながら将棋の道を突き進んだ村山の壮絶な人生を、羽生善治をはじめとする同世代の棋士との死闘や、彼を支える師匠や両親たちの愛を通して描く。『宇宙兄弟』などの森義隆がメガホンを取り、『マイ・バック・ページ』などの向井康介が脚本を担当。大幅な体重増量など徹底した役作りに挑んだ松山の熱演が光る。(シネマトゥデイより)
感想
冒頭、桜吹雪の中でパンするカメラの速度が…なんだか気持ち良くない。音楽とタイミングが合っていないのか、微妙に早すぎるように感じる。
ヨレヨレになった松山ケンイチが、親切なおっさんに抱えられながら将棋会館に入る。席につき、駒を並べている内に背筋がシャンとしてくる。この辺の雰囲気は良い。ここでカメラは将棋盤を正面から捉え、駒のパチンという音と共にタイトル…と、思いきや、一拍遅れる。やっぱり微妙にタイミングが気持ち悪い。
ここには、音と映像が一致していた『ちはやふる』の心地よさとは違うものがある。『ちはやふる』の心地よさが、溌剌とした青春のキラメキと一致していたとすれば、『聖の青春』の気持ち悪さは、病魔と闘う村山の倦怠感と通じている。
やりたいことは分かる。底層にずっと流れ続ける泥沼のような倦怠感と、それにも関わらず失われない清流のような将棋への想い。
ただ、中盤の描写は「幅をもたせる」ためには良いのだろうけれど、将棋以外のことばかりやっているように見えてしまって、ややバランスが悪いように思う。あれむしろ、将棋シーンの合間に、ちょこちょこと挟むくらいの方が効果的だったんじゃないかな…。
羽生さんと呑みにいくシーンはなかなか良かったかな…。あれは、「幅をもたせた」ことの効果が出ていたように思う(羽生さんにだけは…っていうね)。その辺と終盤にかけては割りと良い。
ラストはいまいち。あれナレーションいらないよなあって。あそこ、余計な音いらないよ。映画自体がナレーションベースで進むわけじゃないこともあって、あの唐突なナレーションはノイズに感じてしまう。文字でやった方がずっと良い。ラストショットもなんか…ね。エンディングテーマもいまいち噛み合ってないし。
キャスト。松山ケンイチくんの演技は出色。東出くんは…絵面は良いのだけれど、声が違うかな…なんか本当に頭の良い人の声には聞こえなかった。どこか気取った…張り子の虎みたいな。
悪くはないのだけれど、全体としていまいち洗練されていないなあ…という印象の映画。「艦これ」もそんな感じだったし、KADOKAWA分かってないなあ…って。
☆☆☆★(3.5)