恋妻家宮本
監督:遊川和彦
概要
テレビドラマ「家政婦のミタ」「偽装の夫婦」など数々の話題作を送り出してきた人気脚本家・遊川和彦の初監督作。作家・重松清の小説「ファミレス」を脚色し、子供が独立して二人きりになった夫婦が、家族の在り方を模索していくさまがコミカルに展開する。熟年離婚の危機に瀕した主人公には阿部寛、その妻をテレビドラマ「女王の教室」など遊川脚本作品に出演経験のある天海祐希が演じる。さまざまな家族の姿を描き続けてきた遊川が、どんな家族像や夫婦像を示すのか注目。(シネマトゥデイより)
感想
去年、過去最高益を更新した東宝。ただお客さんが入っただけじゃなくて、作品の質も高かった。『ちはやふる』『シンゴジラ』『君の名は。』『怒り』『何者』…東宝は何かを掴んだんじゃないか…。
その一つはおそらく、監督が脚本を兼ねるということ。それによって、物語の流れと演出のリズムを一致させることが出来る。邦画にありがちな、あの無駄に間延びした退屈な時間をなくすことが出来る。
正直、主題には興味を持てなかったこの映画。なんで見に行ったかって、まあ原作が重松さんだったからなわけだけれど(←)
ふむ…_φ(・_・
とは言え、どういうテンションの映画か見当がついてなかった。冒頭、なんだか妙に可愛いデニーズの店員さん(柳ゆり菜)がカメラを出迎えてくれる。「あ…こういうテンションなのね」と。人情もの…というよりは、もっとずっと軽い感じだ。
そうして、僕はだいぶ気楽な気分で見始めた。
この柳さんをはじめとして、菅野美穂さんから相武紗季さん、佐津川愛美さんに早見あかりさん、紺野彩夏さんまで、新旧のアイドル(アイドル女優)たちが共演しているところが見所…のひとつかも知れない。
それにしても、菅野さん…いくつなんだと。可愛すぎだろうと。
カメラに語りかけてくる顔、顔、顔。登場人物の視点になったようなショットが、ところどころに織り交ぜられている。いわゆる主観カメラというヤツだ。その上、映画館の鑑賞者を意識しているようなメタ的な芝居も入ったりする。
主観カメラでのクローズアップが印象的だけれど、うまくいっているかはちと微妙なところ。ただ、天海祐希さんに「襲われる」(本来なら嬉しいはずの)シーンが恐怖でしかないのは、上手かったかな。すでにラブラブ感がない夫婦の…なんと言うかな倦怠感みたいなものが、ぼくにも感じられたからね。
それから、迫りくる富司純子さんもかな~り怖かった。「これは…勝てん…」と、ぼくも思ったもん(≧∀≦)ノ その辺はなかなか上手かったかなあ…と。
ふむ…_φ(・_・
画的な面で言えば、印象的だったのは駅での夜のシーン。レールを挟んで1番線ホームと2番線ホームに立つ2人。この時、カメラはそれらを(輪切りにするような形で)レールの進行方向から捉える。だから、スクリーンの両端にそれぞれのホームが…そこで語り合う2人の姿が映し出されることになる。(※下の予告編の1:23~1:24辺り)
映画館での座席が前の方だと、スクリーンの両端をいっぺんには捉えられない。そんな座席から、両端に立って語り合う姿を見ていると、まるで舞台を見ているような気分になる。そもそも、夜のホームって、それ自体が舞台みたいだよね。それが実際そうなったように感じられて、あのショットはなかなか良かったな…。
テーマ的な部分には別に触れなくても良いか…。夫婦がどうとか熟年離婚がどうとかってことについて、ぼくが言うことないもんな←
もちろん、普遍的なテーマも備えている。ざっくり言うと、人生には様々な選択肢があって、あとからそれをあれこれ悩むってこと。でも、「正しいか正しくないか」って判断より、「優しいか優しくないか」って判断の方が大切じゃないの? みたいな。
まあ、言いたいことは分かるけれど、「優しさで判断する方が大切」って、結局、「優しさで判断する方が正しい」って言ってるのと同じことだから、微妙に釈然としない気分が残った…のは、僕が捻くれてるからなのかな…。大体、ラブホのくだりはアウトないんじゃないの、あれ? それもセーフにするのが優しさ? なんか釈然とせんのだけれど。
それはともかく。演出的に滑っているところもあるし、クライマックスのシーンはちとくどい。正直、完璧な映画じゃない。監督が脚本を兼ねるのと、脚本家が監督を兼ねるのとでは、やはり同じように見えても違うのかも知れない。
ただ、ラストにみんなで吉田拓郎さんの「今日までそして明日から」を歌うような遊び心は、ぼくは嫌いじゃない。
☆☆☆☆(4.0)
(エンドクレジットに、くまとラジオで共演している都丸紗也華さんの名前。早見さんの友達役?…と言うか、よく考えたら動いてる都丸さんってほとんど見たことがなかったことに気付いた|д゚))