失ったもの1
1.
「SKEでは『片想いFinally』が好き」。ある子はそう言った。
もともとPerfumeが好きで、最近では欅坂の制服姿が気に入っているらしい(個々のメンバーのことは知らないらしいけれど)。それはとても分かりやすい嗜好だと僕は思った。つまり、彼女はビジュアルに明確な世界観があるものが好きなのだ。
もちろん、人の趣味嗜好はそれぞれに違う。それでも大事だと思うのは、グループとして「私たちはこうだ」というビジュアルコンセプトを持っているということ。それがなければ、そもそも引っかかりすらしない。いくら「色んな子がいる」と言ったって、最初からそこまで細かく見てくれるわけじゃない
2.
「髪を染めた時、ファンだけじゃなく、メイクさんやメンバーも似合うって褒めてくれた」…くまのそのセリフを聞いた時、ぼくはこのグループはもうダメかも知れない…と感じた。ただ内輪でワイワイとやっているだけで、グループとしてのコンセプトも世界観も意識されていない。そこには何らの芯もない。
後発の坂道シリーズが「統一したビジュアル」を打ち出す一方で、48は「みんなバラバラでみんな良い」という安っぽい歌詞のようなスタイルをより強調するようになった。「坂道=統一感」、「48=バラバラ」という対立構図がいつしか出来上がっていた。
この構図でもっとも割りを食ったのが、SKEだった。なぜなら、黒髪原理主義を貫いていたSKEは、もともと48においてもっとも統一したビジュアルコンセプトを持っていたグループだったから。「48=バラバラ」という構図に当てはめられたことで、SKEはアイデンティティを失った。いまやファン以外にはSKEとAKBは見分けがつかない。
欅坂に流れた彼女がSKEに戻ってくることはもうないだろう。ぼくだって、好きにもなれないものをムリに勧められない。