ハドソン川の奇跡(4.0) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
『ハドソン川の奇跡』 (2016)
SULLY
 
監督:クリント・イーストウッド
 
概要
 俳優としても監督としても著名なクリント・イーストウッド監督と、名優トム・ハンクスがタッグを組んだ人間ドラマ。2009年1月15日、突然の全エンジン停止という危機に見舞われながらも、ハドソン川に不時着して乗客全員が生還した航空機事故のてん末に迫る。『サンキュー・スモーキング』などのアーロン・エッカートらが共演。機長の手記を基に描かれる、奇跡の脱出劇の背後に隠された真実に言葉を失う。(シネマトゥデイ)
 
感想
1.
 僕は飛行機事故調査のドキュメンタリーがわりと好きだったりする。ミステリーのように、必ずなにか原因があって、それを探る謎解きの要素がある。その原因は大抵の場合、ロジカルに解き得るもので、そうして謎を解き明かすことで、飛行機の安全性向上に結び付く。
 
 それに対して、この映画は…むしろ「人間ドラマ」に目を向ける。まあ、クリント・イーストウッドらしいなあと。「英雄」に対する、少し捻った、でも柔らかいまなざしは『アメリカン・スナイパー』にも通じるもの。
 
 ただ、『アメリカン・スナイパー』とは異なり、賛否両論を巻き起こすような(戦争の)「英雄」ではないから、いかに「苦悩する英雄像」を描けど、端から勝負は決まっている。その意味では、「半沢直樹か!」ってなお約束感の雰囲気がちとある。調査委が嫌らしい演技をする辺りなんか…いかにもわざとらし過ぎて、一歩引いた気持ちになってしまうな。
 
 とは言え、(半沢直樹がそうであるように)分かってはいても、やはり面白いものは面白い。まあね…やっぱりトムさん(←)は芸達者だしね。白髪のトムさんってのも、なかなか新鮮だったな。
 
2.
 ハリウッドでは「911後のトラウマにどうやって向き合うか」が主題になってきたし、0年代には、名作『再会の街で』のように、「痛みをみんなで分かち合いましょう」みたいなモードが主流を占めていた。
 
 それに対して、この映画は「癒し」を与える。この映画、明らかに『ユナイテッド93』のような映画(引いては911そのもの)を引きずっている。ただ、『ユナイテッド93』が絶望(と、その状況下での普通の人々の勇気)を提示するのに対して、この映画は(「努力は必ず報われる」じゃないけれど)、「正しい行動は正しく報われる」と述べることで、救いを提示する。
 
 思えば、『君の名は。』もまた、311後のトラウマに対する「癒し」を与えるものだった。少し不思議なのは、911と311の間には10年の歳月が隔っているにも関わらず、トラウマに「癒し」を与えるような作品が日米同時に現れたこと。世界の空気がそうなってきたのかな…( ..)φ
 
☆☆☆☆(4.0)