リップヴァンウィンクルの花嫁(3.5) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
リップヴァンウィンクルの花嫁 
 
2016年日本
 
監督:岩井俊二
 
概要
 『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』などの岩井俊二がメガホンを取り、『小さいおうち』などの黒木華と『新宿スワン』などの綾野剛が共演したドラマ。派遣教員のヒロインが義母に浮気の濡れ衣を着せられ、家を追い出されながらも、なんでも屋の男や不思議な住み込みメイド仲間と交流していく姿を描く。黒木と綾野のほかミュージシャンのCocco、原日出子、地曵豪らが共演。(シネマトゥデイより)
 
感想
1.岩井さん、岩井さん。
 岩井さん。こう言っちゃなんだけど、正直、下手だよね。3時間は長過ぎだし、語りにも無駄が多いし、展開は読めちゃうし、音楽はやかましいし、脚本にもツッコミどころが山ほどある。「卒業アルバムのくだり意味ないよね!」とか、最後はもう「コントかよ!」* と。
 
*(この映画の基本的なテーマは「被ること/装うこと」だと思うのだけれど、それに対する「裸」という構造は、あまりにも安直すぎやしないか)
 
 彼のウリである筈の映像も、淡々とした日常描写とかいかにも映画的な表現をしようとするとユルさが目立ってしまって、なんだかな…。とくに序盤は退屈に感じてしまう。そもそも、彼一流の耽美主義と、こうした日常描写ってのが、相性が悪いのかも知れない。
 
 それは終盤の場面でもそうで。見れば分かると思うけれど、わざわざ外して撮っている。あれきっと、映さないんじゃなくて映せないんだよね。岩井さんの耽美主義だと、あれは映せないんだと思う。ここには、ある種のメタ的な構造がある。つまり、「裸になるって恥ずかしいよね」と言っている岩井俊二自体が、そうしたよそ行きの映像から抜け出せないっていうね。
 
 たとえば、写真家だけれど、岩井さんと同じような柔らかな描写が特徴の川内倫子さんだったら、あれはきっと撮れている。彼女には、詩情とともに「生命」という芯があって、それが表現の強さに繋がっている。岩井さんからは、なにかそうしたものを感じない。
 
 ただ、悪いところばかりじゃない。中盤、物語がファンタジックな方向に進んでいくと、ツッコミどころもその雰囲気でゴマかせるようになる。この中盤になると、俄然、画の強さも出てくるのが面白い。やっぱり、こういう方が岩井さんには合っている。見ていて心地いいもん。
 
 だがしかし(駄菓子菓子)…この映画は、なによりなにより…黒木華!!!
 
2. I Love 黒木華!
 もう…なんでしょう。なんでしょう。黒木さん好き過ぎなんですけど。なんでしょうあの子は。なんでしょうあの横顔は。パッと見で凄い美人ってわけでもないのだけれど、画面に映った時のあの…なんて言えば良いの? もうさ…輝いているって言うかなんて言うか…もうなんだかよく分かんないけれど凄いんだ。凄いんだ、もう。
 
 彼女を褒め称えられるだけの言葉のボキャブラリーがさ、僕にはないんだよ。「演技が凄い」ってだけでさ、惚れるってことがあるんだよ。
 
 この映画は、黒木華の、黒木華による、黒木華のための映画。黒木華がいじめられる! 黒木華がだまされる! 黒木華がメイドになる! 黒木華がウェディングドレスを着る! 黒木華がキスをする! 黒木華が雨に濡れる! 黒木華がシャワーを浴びる! 黒木華がホースで水を撒く! とか、もうそういう世界。そういうのを見て楽しむ世界。
 
 そして、黒木華が歌う!!! もうなんかさ…それだけで凄いんだわ、なんか。もう…声がさ。もっと声を聴かせてよ。黒木さんの歌が出たら、僕は買うね!←ただのファン
 
 岩井さんもやっぱりその辺は上手いんだな。女性の撮り方がね。時々、『花とアリス』を連想させるようなところがある。そう言えば、黒木さん、気付かなかったけれど、どことなく蒼井優ちゃんに似ているかもね?
 
 正直、作品としては破綻していたけれど、色んな黒木華を堪能出来ただけで、十分にペイしたと、そう思おう。この予告編も、予告編としては全然機能していないけれど、1分間黒木さんを見続けられるなら、それでヨシ!
 
☆☆☆★(3.5)
物語2.5
配役5.0
演出3.0
映像4.0
音楽3.0