ガールズ&パンツァー 劇場版(5.0) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
ガールズ&パンツァー 劇場版
 
2015日本、120分
 
監督:水島努
 
概要
 華道や茶道と同様に戦車を駆使する「戦車道」が存在する世界で、戦車道の大会を目指しまい進する女子高生を描いたテレビアニメの劇場版。シリーズの舞台である茨城県大洗で戦車道のエキシビションマッチの開催が決定し、キャラクターたちが新たな戦いに身を投じるさまが映される。監督は、本シリーズや『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』などの水島努。劇場版の新キャラクターの声を瀬戸麻沙美、米澤円、能登麻美子、竹達彩奈らが担当する。新キャラクターのほか劇場版で初登場する戦車にも期待。(シネマトゥデイより)
 
戦車と女の子(感想の前に)
 まるで対極にあるような2つを組み合わせてしまったのが、この『ガールズ&パンツァー』だ。『艦これ』や『うぽって!!』など、ミリタリー×女の子という組み合わせは最近の流行り…。と、言いつつ、宮崎駿さんがまさにそうなわけで、『ナウシカ』以来の伝統とも言えるのかも知れない。
 
 ただ、これら最近の作品に言えることは、まったくあっけらかんとしていること。戦争嫌いなのにミリタリー好きな宮崎さんが、その葛藤に答えを出したのが『風立ちぬ』だったわけだけれど、最近の作品では、そうした葛藤そのものがそもそも存在しない。
 
 人によったら、危険な兆候と受け取るかも知れない。けれど僕は、こうした作品については、その点は心配していない。第一に、宮崎さんがまさにそうであるように、戦争嫌いとミリタリー好きは両立するものだし、第二に、こうしたものを受け入れられるくらいの余裕があった方がきっと戦争なんてしないと思えるから。
 
 近代日本が戦争をする時は、たいてい世論が沸騰して起こったものだった。もちろん、軍部が勝手に起こしたものもあったけれど、それだって世論の後押しがあった。他国の干渉やら、在留邦人の殺害などで世論が沸騰して、戦争って方向に流れていった。だから、世論がひとつの方向に流れてしまうこと、それこそが僕がもっとも恐れることだ。
 
 世論がひとつの方向に流れると、反対意見を述べ辛くなる。言論統制のような明確な形はなくとも、常に無言のプレッシャーに晒されるようになる。だから、可愛い女の子が「パンツァーフォー」とか言っているのが許容されているうちは、まだ大丈夫だと思える。「こんなふざけたものはけしからん」という空気にならない内はまだね。
 
感想
 『ガールズ&パンツァー』は2つの組み合わせから構成されている。ひとつは女の子と戦車という組み合わせ。もうひとつは、セルと3DCGという組み合わせだ。
 
 今のアニメは、セル+3DCGのハイブリットで作られることが一般的になっているけれど、『ガールズ&パンツァー』には、そうした構造が明確に現れている。女の子の場面ではセル(レイヤー)を用いた作画、戦車の場面では3DCG。非常にはっきりしている。そして、それらの特徴を良く生かしている。
 
 女の子が出てくる場面では、作画による柔らかい演技。戦車が出てくる場面では、3DCGによるスペクタクルな動き。これはそういう意味でハイブリットアニメのお手本のような作品だし、映画としての作りもしっかりしている。
 
 余計なことをすべて削ぎ落としたシンプルな脚本。新キャラクターも登場するけれど、個々のキャラクターに、ちゃんと見せ場がある。新旧のバランスも良い。「ファンを大切にしているな」ってことが伝わってくる。
 
 待望の(?)旧帝国陸軍チームも登場。扱い方が難しかったと思うけれど、なかなかうまく処理している。どんどん突撃しちゃう日本軍…って感じで、少し距離を置いた描き方になっている。各国に対するこの辺のスタンスは『ヘタリア』辺りにも通じるかも知れない。
 
 ちゃんとドラマとしてのメリハリもあるのだけれど、やはり圧巻はクライマックスの戦闘シーン。刻々と変わる戦況、これでもかというくらいに畳み掛けてくる主観移動のカメラワーク。まるでジェットコースターのような、息をつかせぬ場面が続く。これで面白くないわけがない。
 
 さらにその中で垣間見える人間ドラマ。躍動的なダイナミズムと、爆音の中の不思議な静けさ。シンプル・イズ・ベスト。『SHIROBAKO』も素晴らしかったし、水島さんは現代最高のアニメ制作者のひとりかも知れない。
 
☆☆☆☆☆(5.0)
物語4.5
配役4.5
演出5.0
映像4.5
音楽4.5