GAMBA ガンバと仲間たち
2015年日本、92分
監督:小川洋一/河村友宏/小森啓裕
主演:梶裕貴
概要
テレビアニメ化された「ガンバの冒険」も人気を博した斎藤惇夫の児童文学を基にした劇場版アニメ。都会育ちのネズミのガンバが、ある島を恐怖に陥れる白イタチを倒す旅に出る。エグゼクティブプロデューサーに『アメイジング・スパイダーマン』シリーズなどのアヴィ・アラッド、脚本に『寄生獣』シリーズなどの古沢良太らが結集。ボイスキャストを人気声優の梶裕貴や『アナと雪の女王』の吹き替えも担当した神田沙也加が務める。壮大で流麗なビジュアルもさることながら、仲間や勇気の尊さをうたったテーマにも胸を打たれる。(シネマトゥデイ)
感想(注:基本悪口です)
ボクはたぶん、白組が好きじゃない。
『friends もののけ島のナキ』はどこが良いかさっぱり分からなかったし、『STAND BY ME ドラえもん』はただのお涙頂戴ドラマにしか思えなかった。実写でも『寄生獣』や『BALLAD 名もなき恋のうた』の処理は気にくわなかったし、『永遠の0』に至っては言うまでもない。
まあ、要は山崎監督が嫌いだってことなんだけれど。
彼らのやっていることは、そこらからコンテンツを借りてきて、それを彼ら流の感情操作マシーン(このボタンを押せば観客は涙を流すとかね)として作り替えているだけだ。やっていることは、作品作りというより、製品作りに近い。
今作は山崎監督ではないけれど、でもやっぱり、どこか似たような感じだ。
「ガンバ」と言えば、もちろん出崎監督版があるわけだけれど、あれとは比べものにならない(日本のアニメ監督を2人挙げよと言われたら、ボクは迷わず宮崎駿と出崎統を挙げる)。はじめにイメージカットを見た時から、これはもう出崎版とは別物だということが分かった。
出崎さんの演出に芝山努さんのレイアウト、小林七郎さんの美術。出崎版「ガンバ」は忘れがたいアニメだ。魅力的なキャラクター、雨降る港のポエジー。ノロイ一族の恐ろしさ。なにより難破シーン。夕暮れの大海原にガンバがポツンと浮んでいるショットと、その遙か上空をジャンボ・ジェットがゴーッと通り過ぎるショットは凄かった。
これはその足下にも及ばない…というよりも、そもそも同じ土俵にすら立てていない。
フル3DCGがウリなのだろうけれど、一昔前の非ピクサー系のハリウッドアニメみたいなマッチョなCGキャラクターには、まるで魅力が感じられない。そもそも、ネズミたちは毛むくじゃらの筈なのに、ただテクスチャを貼っているだけだから、誰もかれも「毛皮柄の全身タイツ」を着ているように見える。
2001年、ピクサーが『モンスターズ・インク』を作ったのは、あの毛並みのシミュレーションが実用化できたからだ。そこには、技術開発と作品制作が不可分に結びついた彼らの哲学がある(出崎版の「ガンバ」でも海のシーンを静止画でなくアニメートにするなど、そうした挑戦の姿勢は随所に見られる)。
この作品は技術的に(予算の問題はあるにせよ)その当時のピクサーに追い付いていないだけでなく、そうした姿勢において決定的に異なっている。ただ自分たちのフォーマットに「ガンバ」を当てはめただけのような、そんな印象があった。
古沢さん(『リーガル・ハイ』など)の脚本もイマイチ。鳥には鳥の戦い方がある筈だし、ネズミたちの絶望的な戦いにしたって納得感がない。ボクは、命をかける戦い方には2通りあると思っている。(たとえ僅かであっても)勝算があってそうすることと、ただ破れかぶれになってそうすることの2つだ。
前者は味方のサバイバルと自己犠牲の問題であるのに対し、後者は単なる感情の問題だ。「ガンバ」の場合、島のネズミたちを助けることが目的なんだから、明らかに前者でなければならない。でも、これはそうなっていない。だから時々、命をかける行動が、ただのバカに見える。
それはまた、もうひとつの問題にも繋がっている。出崎版の「ガンバ」には、どこか叙事詩を思わせる趣があった。残虐性やある種の暗さ。絶望的な状況での英雄的な戦い。そして夜空に響く歌。
このフル3DCG版のガンバは、そうしたものとは無縁だ。明るいというよりも軽薄。戦いの阿呆さに加えて、この映画の展開で、ああいう(一種「ワンピース」的な)ラストの作り方は違和感がある。ここにはポエジーがない。そしてそれは、シジン=詩人の不在ということに象徴的に表れている。
ボクはやっぱり、この映画は嫌いだな。営業が出しゃばったような、冒頭の企画も大嫌いだ。
☆☆☆(3.0)
物語3.0
配役3.0
演出3.0
映像2.5
音楽3.0