人でごった返す会場。
もうすぐミニライブ。
会場奥にミニライブのステージ。右側に握手会のレーンエリア。
その中央、柵で仕切られたレーンエリアへの出入口通路が、
まるで川のように、会場を手前と奥とに二分している。
ミニライブが近づくにつれ、
その「川」を挟んで奥側の「ステージ前方エリア」と、
手前側の「ステージ後方エリア」に人だかりが出来ていく。
ボクが居るのは後方エリア。遠い上に人だかりで見えづらい。
川の対岸を見ると、ステージ前はもちろんさらに混雑している。
けれど、前方エリアの後方、川岸辺りは、ほとんど人が密集していない。
ヨシ、あそこに移動しよう…。
ボクは(鞭声粛々)川を渡り、対岸へと移動する。
広々としたスペース。ここなら見やすいや。移動もしやすい。
前にうちわを3枚持った人がいる。少し横にズレる。問題なし。
なかなかミニライブが始まらない。やっぱり押しているのかな…。
14:50(適当)。ようやくミニライブ開始のアナウンス。
周りの人がボツボツとサイリウムを取り出し始める。
やはり目立つのは緑色のサイリウム。
水辺に集まる蛍の灯。会場が光で満ちていく。
そうして、いよいよメンバーの登場。
あ…。
ステージまでは距離があって、ボクは顔を判別できない。
数日前のひょんさんのように目の調子も良くないけれど、
それでも、一目で分かる。
スラッとした細長いfigure。
ひょんさんだ。
誰がどの衣装か分かっていることもあって、遠目でも大体のメンバーは識別できる。
ただ、パッと瞬間的に分かる子と、そうでない子がいる。
意外と谷が分かりやすい。それって、どういう理屈なんだろう。
あの帽子をかぶった小さい子は誰だ…妙に可愛い感じがするけれど。
あとで調べたら、アンダーで出ていたさーなん(たぶん)。さもありなん。
メンバーがじゅりれなを囲んで2つの輪を作る。
あれ、この隊形…。
一曲目、『前のめり』じゃなくて『コケ渋』なんだ。
って、『コケ渋』の握手会なんだから当たり前か。
そして…曲が始まる。
大気を震わす爆発的なスピーカー。
うなりをあげるステージライト。
会場の空気が一変する。
ステージ上のパフォーマンスと、周囲のレスポンスが絡み合っていく。
一糸乱れぬ(言い過ぎかも)ダンス。一斉に動くサイリウム。ひとつに揃う声。
すべてが同じ方向を向いている。
まるでマンガにでもなったかのように、斜め上方への効果線さえ見えた気がした。
…なんだこれは…
15年前、アイドル冬の時代。
そこで見たものは、圧倒的な数の無関心な観衆と、
それに立ち向かうように声を枯らし、絶望的な戦いを繰り広げる、
わずかばかりの勇者たち(ヲタ)の姿だった。
あれから15年。あの勇者たちは、絶望的な戦いを乗り越え、
いまこうして、この会場のすべてを埋め尽くしている。
あらゆる理屈を越えて、ボクはそんな感覚を覚えていた。
曲が終わり、MCでは真木子がなんちゃら←
2曲目。『オキドキ』
会場のボルテージがさらに上がっていく。
華麗なステージ上のパフォーマンス。
「オーキドーキ!」の声で会場が一体化する。
この圧倒的な同調作用のなか、批判的な言葉なんて出てこやしない。
震える空気、世界が特別なものに変わる。
それはまるで、あの伝説の97年9月7日の夜。
初のW杯出場がかかった最終予選の初戦。
いまはもう失われた国立競技場(ボクはそこに居た)。
満員の観衆と、ひとつの想い。きらめくカクテル光線。
そして、あの夜空一面を覆い尽くした紙吹雪。
世界を特別なものにしたあの光景…あれにどこか似ていた。
彼女/彼らは、それを意図的に作り出すことが出来るんだ。
正直、心が震えたな…。
『オキドキ』でなぜだか涙が出そうになったんだ。
つづく