うつせみ4(アイドルに関する長い話9) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)






人でごった返す会場。

もうすぐミニライブ。


会場奥にミニライブのステージ。右側に握手会のレーンエリア。

その中央、柵で仕切られたレーンエリアへの出入口通路が、

まるで川のように、会場を手前と奥とに二分している。


ミニライブが近づくにつれ、

その「川」を挟んで奥側の「ステージ前方エリア」と、

手前側の「ステージ後方エリア」に人だかりが出来ていく。


ボクが居るのは後方エリア。遠い上に人だかりで見えづらい。

川の対岸を見ると、ステージ前はもちろんさらに混雑している。

けれど、前方エリアの後方、川岸辺りは、ほとんど人が密集していない。

ヨシ、あそこに移動しよう…。


ボクは(鞭声粛々)川を渡り、対岸へと移動する。

広々としたスペース。ここなら見やすいや。移動もしやすい。

前にうちわを3枚持った人がいる。少し横にズレる。問題なし。


なかなかミニライブが始まらない。やっぱり押しているのかな…。


14:50(適当)。ようやくミニライブ開始のアナウンス。

周りの人がボツボツとサイリウムを取り出し始める。

やはり目立つのは緑色のサイリウム。

水辺に集まる蛍の灯。会場が光で満ちていく。


そうして、いよいよメンバーの登場。

あ…。

ステージまでは距離があって、ボクは顔を判別できない。

数日前のひょんさんのように目の調子も良くないけれど、

それでも、一目で分かる。

スラッとした細長いfigure。

ひょんさんだ。


誰がどの衣装か分かっていることもあって、遠目でも大体のメンバーは識別できる。

ただ、パッと瞬間的に分かる子と、そうでない子がいる。

意外と谷が分かりやすい。それって、どういう理屈なんだろう。


あの帽子をかぶった小さい子は誰だ…妙に可愛い感じがするけれど。

あとで調べたら、アンダーで出ていたさーなん(たぶん)。さもありなん。


メンバーがじゅりれなを囲んで2つの輪を作る。

あれ、この隊形…。

一曲目、『前のめり』じゃなくて『コケ渋』なんだ。

って、『コケ渋』の握手会なんだから当たり前か。


そして…曲が始まる。

大気を震わす爆発的なスピーカー。

うなりをあげるステージライト。

会場の空気が一変する。


ステージ上のパフォーマンスと、周囲のレスポンスが絡み合っていく。

一糸乱れぬ(言い過ぎかも)ダンス。一斉に動くサイリウム。ひとつに揃う声。

すべてが同じ方向を向いている。

まるでマンガにでもなったかのように、斜め上方への効果線さえ見えた気がした。

…なんだこれは…


15年前、アイドル冬の時代。


そこで見たものは、圧倒的な数の無関心な観衆と、

それに立ち向かうように声を枯らし、絶望的な戦いを繰り広げる、

わずかばかりの勇者たち(ヲタ)の姿だった。


あれから15年。あの勇者たちは、絶望的な戦いを乗り越え、

いまこうして、この会場のすべてを埋め尽くしている。

あらゆる理屈を越えて、ボクはそんな感覚を覚えていた。


曲が終わり、MCでは真木子がなんちゃら←


2曲目。『オキドキ』

会場のボルテージがさらに上がっていく。

華麗なステージ上のパフォーマンス。

「オーキドーキ!」の声で会場が一体化する。

この圧倒的な同調作用のなか、批判的な言葉なんて出てこやしない。


震える空気、世界が特別なものに変わる。

それはまるで、あの伝説の97年9月7日の夜

初のW杯出場がかかった最終予選の初戦。

いまはもう失われた国立競技場(ボクはそこに居た)。

満員の観衆と、ひとつの想い。きらめくカクテル光線。

そして、あの夜空一面を覆い尽くした紙吹雪。

世界を特別なものにしたあの光景…あれにどこか似ていた。


彼女/彼らは、それを意図的に作り出すことが出来るんだ。

正直、心が震えたな…。

『オキドキ』でなぜだか涙が出そうになったんだ。


つづく