駆込み女と駆出し男
2015年日本、143分
監督:原田眞人
主演:大泉洋
概要
劇作家・井上ひさしが晩年に11年をかけて執筆した時代小説「東慶寺花だより」を映画化。江戸時代に幕府公認の縁切寺であった東慶寺を舞台に、離縁を求めて寺に駆け込んでくる女たちの聞き取り調査を行う御用宿の居候が、さまざまなトラブルに巻き込まれながら訳あり女たちの再出発を手助けしていくさまを描く。『クライマーズ・ハイ』、『わが母の記』などの原田眞人監督がメガホンを取り、主演は大泉洋。寺に駆け込む女たちを、『SPEC』シリーズなどの戸田恵梨香、実力派の満島ひかりらが演じる。(シネマトゥデイより)
感想
なにから語ろうかな…。
冒頭、夜の山を歩くシーンで、手許の提灯がロウソクじゃなくて、おそらくライト…。その光は、江戸時代の山ではなく、21世紀の山を照らしてしまう。そのため、朝になっても、そこに転がっている材木が、工作機械を用いて作られた製材のように見えてしまった。
映像という点では、たとえば『蜩ノ記』ほどの説得力があるわけじゃない(あれは映像だけだったけれど)。
ただ、そういうことを考えている間もなく、物語はぐんぐん進んでいく。とにかく台詞回しが早い。「ついてきてますか?」 それは鑑賞者への問いかけでもあるだろう。しかも、その台詞が洒落ているんだよね。そうして、いつしかこの世界の中に入り込んでいってしまう。
天保の改革という大きな物語が背景を構成するなかで、絡み合っていくいくつかの群像劇。
縁切りという主題は、とかく暗くなりがちだけれど、この映画はその辺のバランスの取り方が良い。個々のエピソードの処理は意外とあっさりとしているから湿っぽくなっていないし、その割に底が浅くなってもいないんだ。こう…感動のナイフでグサッと刺すわけじゃないんだけれど、じわ~っと心に浸透させるというかな…そんな感じ。
そして、そこにスパイスとして笑いが効いている。流れのなかで、ちょこちょこと、うまいこと笑いをはさんでくる。監督さんも、役者さんも、間の取り方がうまいんだよね。とくに樹木さんの演技は絶品だし、大泉さんの台詞回しも面白い。木場さん堤さん辺りの安定感もさすがだし、戸田さんをはじめとした若手女優陣も良かった。
近年不作だった時代ものの中では、なかなかの秀作だと思う。
☆☆☆☆★(4.5)
物語☆☆☆☆★
配役☆☆☆☆☆
演出☆☆☆☆★
映像☆☆☆☆
音楽☆☆☆☆