『ソロモンの偽証 前篇・事件』
2015年日本、121分
監督:成島出
主演:藤野涼子
概要
人気作家・宮部みゆきのベストセラーを実写化した、ミステリー2部作の前編。ある中学校で起きた不可解な生徒死亡事件と、その真相を暴こうする女子生徒が開く学校内裁判の行方を追い掛ける。監督を務めるのは、『孤高のメス』などの成島出。『超高速!参勤交代』などの佐々木蔵之介、『小さいおうち』などの夏川結衣、『八日目の蝉』などの永作博美といった実力派が結集、大規模オーディションを敢行して舞台となる中学校クラスの生徒役33人を選出。事件を機に浮かび上がる、人間が抱える闇の深さに息をのむ。(シネマトゥデイより)
感想
子どもって怖い…。
1.
昔、『ぼくらの七日間戦争』って映画があった。教師たちに反発して子どもたちが立て籠もる。子どものころに見たときは気にならなかったんだけれど、大人になってから見たら、これが結構ヒドい話だった。
子どもって、見ようによっちゃ怖い存在だと思う。大人だったらブレーキかけるようなところでも、躊躇せずにアクセルを踏んじゃうような怖さ。しかも、いまだ世界が狭いから、その狭い世界だけの価値観で生きているようなところがある(日本のところてん式の教育がそれに二重三重にも輪をかける)。
子どもってのは、どこかファナティック(狂信的)なんだ。
この映画、『ソロモンの偽証』には、そうした子どもの怖さ…ゾッとするような怖さが滲み出ている。『ぼくらの七日間戦争』では(たぶん)無自覚に現れていたものが、ここではより明確に現れているんだ。
これさ…子どもたちの視点から描かれているから気づき難いんだけれど、学校の大人たちは基本的には間違っていないんだよね。それが子どもたちの猪突猛進で無茶苦茶になっていく…。
…と現時点では思っているのだけれど、後篇でどうなるかってのは…まだよく…(^_^;)>
後半、もう一捻り加えてきそうな雰囲気が…現時点で、観客に対して明らかにウソをついているヤツがひとりいるよね。だから、このレビューはネタバレしません…ってか、むしろボクにネタバレしないでくださいっていう(笑)
2.
ま、それはともかく…この映画で印象的なのは、そんな子どもたちの顔。
たとえばニキビだったり、寝癖だったり、ホクロだったり、そういう何か引っかかりがあって、無垢な顔をしていないんだよね。主人公の子も何かノッペリとした能面のような顔で、ちょっと怖いんだ。
そうした顔がさ…子ども特有の…こう…社会の慣習の外にある感じ(寝癖の話ね)とか、表面上は穏やかに見えても、内にはマグマを抱えている感じとか…そういうものを感じさせるんだよね。
だから怖いんだよね。顔が。
だからそれは実写でやった意味がすごくあると思うんだけれど…正直、この話のリアリティはむしろアニメにこそ相応しいんじゃないかと思えるようなところがある。そんなヤツいないだろう、そんなことあり得んだろう…っていうね。
アニメだったら、その辺のリアリティに対するハードルが下がるというかな…要はリアリティの程度が低くてもアニメだったら通るってことがあるわけ。それはたぶん、小説でもそうなんだよね。小説ならば通るけれど、実写にしちゃうと通らないっていう。
だからこれは、すごく面白いんだけれど、非常に小説的な面白さなんだな…早く続きを読ませてよ…っていうね。子どもが怖いってのも、それは子どもの一側面を抽出して抽象化して造形しているわけで、それもやっぱり小説的なんだよね。
だから、早く続きを見せてください←
p.s.
あ…そうそう、いきなり(岩田)華怜が出てきてビビった(たしかにそんな話聞いたわ…)。
肝心の演技がどうか…と言えば、逆にちょっと上手すぎたんじゃないかと思う。声優とかの経験もあって、やっぱり上手いんだよね。発声なんか特にね。
それがなんかむしろ、この映画では少し浮いていた。他の子はもっと喋り方が拙くて、それが引っ掛かりを生んでいるわけさ。その点、華怜は上手すぎて、流れていっちゃうんだな…。
まあ、本当に上手い子ならば、意図的に引っ掛かりを作ったりもするだろうから、それもまた未熟ってことになるのかも知らんけれどね。
あ…もうひとつ忘れてた。子どものことばかり書いていたけれど、大人がオールキャスト。これはもう上手い人ばかり揃えてあって、その辺のバランスのとり方が良いなと。
ただ、高木先生役の安藤さんは少しミスキャストかも知れないと思った…なんでかって言うと、あの人の顔はむしろ子ども側の顔に見えてしまうんだよね。演出的にあれはああで良いのかな…。どうなんだろう。
黒木華さんはさすがだった。というか、あの人のあの異常な上手さって、いったいなんなの。ボクはもう黒木さんに惚れたわ。
☆☆☆☆★(4.5)
物語☆☆☆☆★
配役☆☆☆☆★
演出☆☆☆☆
映像☆☆☆☆
音楽☆☆☆☆