「はるじおん」
なんだか妙に緊張している。こんな緊張することなんてデートの時だってない…なんてブログに書こうとか考える。そんな文言はきっと、「あの頃とは違う」と、自分に言い聞かせているみたいに見えるんだろう。
いつだって、心のどこかが冷めていた。
あの頃、ボクはずっと、なにかを待っていた。それはきっと、すべての障壁を乗り越えて、ボクをなにか夢中にさせてくれるもの。あの「親衛隊」がそうだったように。そうじゃなければ、ボクは彼らの仲間にはなれない。
2000年代を通じて、ボクはアイドルに傾斜していった。モーニング娘。のようなメジャーなアイドルから、ほとんど名も知られず消えていったアイドルまで、見送っていったアイドルは数千人にのぼるだろう。才能がありながら芽が出なかったヤツなんて山ほどいる。
繰り返される昼と夜。空間を浸していくモニターの光、アンプの振動。時はあまりにもあっけなくて、アイドルたちはその時を輝かせながら、儚く消え去っていった。舞い散る桜のような日々のなかで、それでもボクは、それに触れようとはしなかった。月の光は氷を融かせず、心は閉ざされたままだった。
やがて時は過ぎ、ボクは再び学校へ通うようになった。
ホントに会いたいのは決して触れられぬもの。どうしても会いたい存在なんてたったひとつしかなくて、でもそれは不可能だから、会いに行けるアイドルにだって会いに行かないんだって。そんなこと分かりきってるじゃないか。
めまぐるしく移り変わる日常の中で、「can't」を「don't」 と言い換えることによって、ボクは、そこにあるけれど手の届かないものと、この世に存在しなくて手が届かないものの距離を等しくしようとした。もはやこの世界に存在しなくなったものを、この世界のどこかに存在する筈のものだと思い込みたかった。
そのリアリティをどこかで感じていれば、いつでも夢で会うことが出来る筈だった。
つづく
