『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』
2014年日本、113分。
監督:塩谷直義
主演:花澤香菜
概要
『踊る大捜査線』シリーズなどの本広克行監督が総監督、『魔法少女まどか☆マギカ』シリーズなどの虚淵玄がストーリー原案と脚本を担当した人気アニメの劇場版。人間の心理状態や性格を計測し数値化できるようになった近未来の管理社会を舞台に、治安維持活動に奮闘する公安局刑事課一係の刑事たちの姿を描く。キャラクター原案を手掛けた人気漫画家の天野明、監督の塩谷直義もテレビシリーズから続投する。(シネマトゥデイより)
感想
re-ミックス。まぜまぜよ~うミックスジュース♪
(そういやグレチキの北原くん、ついこの前Yahoo!ニュースに出てたな)
さて…なんも関係ない始まり方をしたこのレビュー。正直、くまちゃんが喜んでるの見ちゃったから書きたくないんだよね…(^_^;)
ま、取りあえずつらつらと書いていきますか(深夜のテンションなので、だいぶおかしいです。ファンの方は回れ右です<(__)>)。
(追記:書き忘れていたけれど、ボクはTVシリーズ、一期も二期も見ています。念のため)
1.
実写取り込みのテクスチャーと、典型的なアニメ絵のキャラクター、それに物理計算されたCG。それでも、この手の作品を多く手掛けているサンジゲンだけあってか、さして違和感は覚えない。まあ、あの海の泡の表現は頂けなかったけれど。
デジタル時代のアニメの特徴は、そうして色んなものがミックスされて出来ているということだ(まぜまぜよ~う♪)。この映画は、単にそうした表現のレベルだけじゃなく、すべてにおいてその傾向がある。
2.
まず、道具立てとか雰囲気、どこか『パトレイバー』を連想させるものがある(榊原良子さんの声もそれに輪をかけてるしね)。それもその筈で、総監督を務める本広さんは大の押井フリークで、『踊る』は彼なりの『パトレイバー』だった(それは本人が言っている)。
(…と書いたところで、Wikiを調べたら、このシリーズも「当初は現代版『パトレイバー』を作ろうという構想」だったらしい。さもありなん)
だから、アジアのどこかが舞台になったこの映画の雰囲気…世界観も、『パトレイバー』と『踊る大捜査線』をベースに、『攻殻機動隊』のアジア要素、『イノセンス』のCGと街並み、『アヴァロン』のミリタリー要素、それにちょびっと『スカイクロラ』の飛行機を足せば出来上がりだ。そこに天野さんのキャラクターデザインをミックスすればいい。
3.
もちろん、ストーリーは違う。ただ、『まど☆マギ』の時もそうだったけれど、虚淵さんのやっていることって、基本的に、使い古されたテーマを現代風にアレンジして再提示するってことだ。この作品のシビュラ・システムもそう。それはあくまでも「現代風」なだけであって、アクチュアル(実際的/時事的)なものではあり得ない。
この映画で語られる正義論も、サンデルさんの本でも読んでお勉強しました…って感じで、そこに血が通っているようには見えない(血はドバドバ流れるけどね)。たとえば、いまシリアやイラク、あるいはウクライナ…あるいは中国や日本で実際に起こっているような何かがここにあるとは、到底思えないんだな。
反政府組織と政府の対立構図も単純に過ぎるし、そもそもテーマに噛み合ってない。彼らが何を目的にしてゲリラをやっているのか、いまひとつ見えてこないんだ。「議長が辞めたら戦いが終わる」みたいなことを言っていたけれど、そんな単純なことで済むのか? 食料はどうなってるんだ。インフラは? 彼らの目的はなんだ。それは誰の支持を受けているんだ。顔がまるで見えてこない。
もうひとつ。この作品は正義ってものを相対化しているように見える。でも、疑ってないものがひとつだけあって。それは主人公。シビュラシステムによって策定された「正義」は疑うけれど、主人公=語り手の正義は疑わない。だから、この作品には全然トゲがない。痛くないんだ(痛みつける表現は一杯出てくるけれど)。
4.
そうしてミックスされた本広要素と虚淵要素。でも、そのどれもオリジナルじゃないから、世界観が透徹されてなくて、時々、まるでチグハグな要素がミックスされている。その典型が上で書いた政府と反政府ゲリラの対立構図だけれど、もうひとつの典型がバイオレンス+アクション要素*。
あんなのは、ただの制作者の趣味か、さもなきゃただのファンサービスだ。
(くまちゃん喜んでたけど!)
(ちとネタバレ)
その上、それがただの脳筋だからタチが悪い。アクション要素を取り入れたいがために、リアリティのレベルが相当下がってる。
なんで特殊部隊がゲリラを暗殺するのに、相手の本拠に正面突破で乗り込んじゃうんだ。しかもそれで勝っちゃうし。だったら端から制圧できるだろう。押井さんの真似したいなら、せめて戦術くらいは学んでこいと(あの人はミリオタだからね)。
しかもゲリラはゲリラで、市街戦ではロケットランチャーやら対戦車ライフルやら何やらやたら使っておきながら、本拠が襲われたらなぜかマシンガン一辺倒。おい、武器どこ行った。
2期の霜月監視官も相当バカすぎて腹立ったけれど、この映画の登場人物は、どいつもこいつもバカすぎて話にならん。バカを作っちゃう制作者ってのは、ボクは信用できない。
まあそれでも、途中まで(常守がゲリラに合流する辺りまで…具体的にはあの夕焼けかあ夜へと移り変わる場面まで)は面白かったかな…(あと、花澤さんの声は相変わらずGood)。
まぜまぜよ~う、ミックスジュース…
☆☆☆★(3.5)
(*追記:インタビュー記事を読んだら、アクション要素はもうひとりの脚本家深見さん、バイオレンス=残虐要素は塩谷監督のテーストらしい。そりゃ噛み合ってないわけだ。それぞれ勝手にやってるんだもの)