「ボク的インターステラーの楽しみかた2」
音編
1.
(宇宙を舞台にした)SF作品で注目すべき点のひとつは「音」です。もちろん、音楽も良いのですが、ここで書きたいのは宇宙空間における音の表現の話です。
真空には(空気や水のような)音の振動を伝えるものがないので、宇宙空間では音がしない…というのはSF上の…と言うか科学の基礎知識ですよね。
2.
しかし、これをちゃんと表現している映画は意外と少ないのです。たとえば、わりと娯楽よりのSF作品…『スターウォーズ』や『スタートレック』、『アルマゲドン』などでは、宇宙空間の戦闘場面などでレーザーの音がしたり、破壊音がしたり、あるいはエンジン音がしたりします。
(そういう映画もボクは好きですけどね)
あるいは、(おそらくスターウォーズからヒントを得た)『のび太の宇宙小戦争(リトル・スターウォーズ))』。
この(藤子F先生が描いた)漫画版では、宇宙空間の場面で「ゴオン」という効果音が書き込まれているのですが、これにわざわざ、「これは船内に響いた音である」と注釈が書き加えられているんですな。
しかしながら、これも映画版の方では普通に効果音が流れるんです。娯楽作品ではこれが普通なんですよね。音がした方が派手ですし、何が起こっているかイメージしやすいですからね。
むしろ、わざわざ注を加えた藤子F先生が…なんと言うかな…「ああ…この人は心にSFを持っている人だ」って感じさせるんですな。さすがに「すこし・不思議」(Sukoshi Fushigi)という新たなSFジャンルを開拓した人だけあります(* ̄艸 ̄)
3.
もちろん、科学的正確さを求める作品もあって。たとえば『2001年宇宙の旅』では、宇宙空間の場面は、ただ音楽を流しているだけであって、基本的には物音しませんよね(モノリスの音だけはなぜか聞こえるんですが)。だからあの映画は静かな印象がします。
現代のSF映画でも、たとえば『ゼロ・グラヴィティ』では、その辺のことが意識されています。あれはおそらく、(音楽+)主人公のサンドラ・ブロックが聞いている音を映画館に流しているという形にしているんですな。
だから、自分(サンドラ・ブロック)が接触していないところの音は(いくら近くても)聞こえないようになっています。たとえば、スペース・デブリが母船にぶつかった音は聞こえない。その一方で、自分がコンタクトしたものの音は聞こえるようになっている。それは直接に振動が伝わるからですよね(ガンダムで言うところの、「お肌の触れ合い通信」と同じ原理ですな)。
4.
そしてもちろん、この『インターステラー』でもその辺のところは意識されています…というより、この作品ではそれが徹底されています。この映画では主人公ではなく、カメラの位置で音が決まります。カメラが船内から映している時は物音がして、カメラが船外から映している時は物音がしない…なんてのは当たり前。
もっとすごいのは…
(ちとネタバレします)
たとえば、ある場面で宇宙船の一部が吹っ飛びます。その瞬間、爆音が一瞬だけして、すぐにフッと静かになるんですな。ただ、映像的にはその爆発はまだ続いているんですが(より正確には爆発ってより破裂)。
これ、どういうことかと言うと、爆発の瞬間、カメラは船内から映しているので、そこは空気があるんです。だから爆音がする。でも、爆発して船の壁が吹っ飛んじゃうので、一瞬で船内の空気がなくなる。だから一瞬で音がしなくなる…っていう表現なんですな。
そんで、この場面ではさらにこだわっているところがあって。爆発後、外にいた登場人物たちが船内に入っていって、色々と操作をします。すると、ある瞬間に「ピーッ、ピーッ」と警報音が聞こえてくるんですよな。
これがどういうことかと言うと、吹っ飛んだ部分の区画に隔壁が降りて、その他の(無事だった)部分が与圧できたってことなんですよな。だから空気が入ってきて音が聞こえるようになった(警報音は爆発した瞬間から鳴っていた筈なんだけれど、真空状態になっていたから聞こえていなかったわけです)。
これ、映画ではまったく(言葉では)説明しないんですが、その辺のポイントを押さえて見ていると、その瞬間、「あ…いま空気が入ってきた(与圧できた)」って分かるんですよな。だから、それが分かった瞬間、「おお!」って感動しますよ。なんか、すげえちゃんと出来てんな~って。
こういうところのこだわりがSF好きの心をくすぐります。ってわけで、これが「ボク的インタステラーの楽しみかた」音編でした<(__)>
つづく