『蜩ノ記』
2014年日本、129分
監督:小泉堯史
主演:役所広司
概要
直木賞作家の葉室麟のベストセラー小説を、『雨あがる』『博士の愛した数式』の小泉堯史監督が映画化した人間ドラマ。無実の罪で3年後に切腹を控える武士の監視を命じられた青年武士が、その崇高な生きざまを知り成長していく姿を師弟の絆や家族愛、夫婦愛を交えて描き出す。過酷な運命を背負いながらもりんとした主人公に役所広司、その監視役の青年には『SP』シリーズの岡田准一。そのほか連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の堀北真希や、ベテラン原田美枝子が共演を果たす。(シネマトゥデイより)
感想
1.
おおもとになる設定は、藤沢周平の名作『蝉しぐれ』を連想させる。タイトルも似ているしね。ただ…これは本物じゃないな~…という気がする。ここにいるのはまがい物の武士…と思ったら、例の浅田次郎氏が賞賛していた(~_~;)↓
「定められた命を感情表現に頼らずに写し取った技は秀逸」
物語そのものも本物じゃない。必然性が感じられないことが多い。いちいち挙げないけれど、ツッコミどころが多すぎるよ。
2.
俳優陣は良いけれど、寺島しのぶさんの「これじゃない感」。演出も悪くないけれど、多少間延び気味。間があるのは演出としてはありえるのだけれど、緊迫感が足りなければ間延びした演出に感じてしまう。
ただ一点、撮影は素晴らしい。う~ん…たとえば、ほの暗い部屋の背後にボヤけて映った露出オーバー気味で白く霞んだ屋外の…なんと言ったら良いのかな…「アウラ」という言葉が手っ取り早いんだけれど。
たとえば、陽の光の中で風にそよぐ木々のあの存在感。たとえば風に舞う雪のあの統計的な無軌道。たとえば田んぼの上を舞う蝶々のあの儚さ。たとえばレンズの前を横切る塵の偶然性。
CGでは決して描くことが出来ない…と言うと素朴なデジタル否定論に聞こえるんだけれど、ボク自身はマイケル・ベイが大好きなように、そういうCGゴリゴリの映画も好きなわけで…。
ただ、ここには、そうしたものによって作り出されるものとはまた別の何かがある。『必死剣 鳥刺し』の時にも感じたけれど、実在の物の存在感(あるいはアウラ)と時代劇というのは、なにか強烈に結び付くことがある。
☆☆☆★(3.5)