正しくあるために6(前しか向かねえの?) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


 AKB48のニュー・シングル『前しか向かねえ』。この言葉は大組閣の標語にもなっており、オープニングアクトとしてスタッフverが披露されました。しかし、ボクは不安になってしまいました。「こりゃあ…まずい」。

1.メンバーにとって
 メンバーが「前しか向かねえ」と言うのはわかります。彼女たちにはそれしかない。もちろん、十夢のように納得してから前に進みたいというのは十分にあり得る考えですし、意図を理解できなければ前に向けないというのは、ひとつの側面ではありますが。

 しかし、その十夢でさえ、「AKBの一員である限り、その命令には従う」と述べているように、メンバーというのは、AKBを軍隊にたとえるならば「兵士」ですから、前進命令が出ている限り「前しか向かねえ」で前進するというのは、ある意味では絶対的に正しい。あらゆる障害を越えて前進するというのが、優れた兵士の条件ですからね。

(もちろん、一個人として、あるいは一アイドルとして、一タレントとして、「その命令には従えません」ということはあり得るでしょうけれどね。それに、なかにはかおたんみたいな、一種の「自由兵士」みたいな子もいるわけですが、ああいうのはちと特殊ですし、誰もが真似できるわけでもありません)。

 他ならぬたかみなが、まさにこうした考え方の権化です。彼女はいつも「前進」と言っているわけですからね。48グループの総監督という立場にあり、田原総一朗さんからは「政治家になれ」と言われているたかみなですが、じっさいのところはむしろ軍曹に近い。司令部(運営)の命令に従い、兵士(メンバー)を叱咤激励して前進させる軍曹です。

 これは別に、たかみなをdisっているわけではないのです。むしろ褒め言葉だと思って欲しい。実際の戦場において、もっとも重要な役割を果たすのが、軍曹をはじめとした下士官なわけですからね。優れた下士官を抱える軍隊は、実戦において恐るべき力を発揮しますし、たかみなは現在の芸能界において、もっとも優れた軍曹のひとりです。

 ここでも、ボクが言いたいのは、少なくともメンバー(下士官/兵士)のレベルにおいては、「前しか向かねえ」というのは絶対的に正しいということです。同じことを何度も言うのは、「前しか」って言っているメンバーたちを批判したくないからです。その気持ちは、とてもよく分かりますからね。


2.運営にとって
 一方、運営…つまり司令部のレベルにおいては、それと同じ発想じゃ困るのです。司令部たる運営が「前しか向かねえ」のでは、これはただの欠陥組織です。司令部というのは、兵士たちが前進できる状況を整え、その兵士たちの奮闘を有効なものにする戦略を考え、状況によっては戦線を後退させるという判断をも求められるものだからです。そのためには、周りを良く見て、正確に状況を把握しなければならない。

(ボクが「天才的軍略家」と評価する織田信長は、勝てると思ったら怒涛のごとく進撃し、マズイと思ったら躊躇なく撤退する人でした。その判断が天才的だったわけですが、それは正確かつ迅速な情報収集と、それに基づいた状況認識に裏打ちされていました)

 司令部に周りが見えていないんじゃ、兵士がいくら頑張っても無意味です。まさに、旧日本軍がそういう組織だったわけです。精神論で「とにかく前へ進め」と言い続け、戦線をどんどん拡大していったものの、戦略なき前進論はやがて破綻を迎え、あの惨憺たる敗戦へと至ったわけです。現在のAKBを見ていると、こうしたかつての旧日本軍が思い起こされてなりません。行き当たりばったりで戦略というものがない。

 それでも、(旧日本軍がそうだったように)状況が許している内は勝ててしまうのです。問題は、上手くいかなくなった時にどうするかでしょう。そのためにちゃんと状況を把握した上での戦略的判断が必要なはずなのに、運営スタッフはバカみたいに「前しか向かねえ」とか歌っている。こんなの、もうホントにどうしようもないですよ。ボクらは、もうとっくに負け始めているんです。もうミッドウェーは通り過ぎているんですよ。

 古参メンバーであるらぶたんは、「秋元さんについて行って、ダメだった時なんてない」と言っていました。そうした信頼…司令部に対する信頼は、それはそれで大事ですし、上でも言ったように、優秀な兵士の条件は、司令部の命令に従って「前しか向かねえ」ことですから、そうした考え方が間違っているわけでもありません。

 ただ…その司令部が現在やっていることがホントに正しいかどうかは、また別の観点から検証されねばなりません。それをやるのがまさにボクらファンの役目だとボクは思っているのですが、現在はそのシステムも上手く駆動しなくなってきました。連戦連勝で浮かれきった軍司令部(運営)は暴走を始め、もはや国民(ファン)の手綱を離れてしまったのです。誰もが「これはマズイ」と思っているのに、止まらない。ダメな組織の典型です。

 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言います。秋元AKB軍はたしかに、この何年間か、圧倒的な勝利を収めてきました。しかしそのことは、連勝がこの先も続くという保証にはなり得ないのです。99戦99勝したからと言って、100戦目も勝てるという保証はない(それに、実際は99戦99勝というわけでもないですし)。

 ヒュームではないですが、今日まで毎日、日が昇ったからと言って、明日もまた日が昇るとは限らない。日が昇るのは、そこに日が昇るだけの状況/理由があるからです。その状況が変わってしまったら、もはや日は昇らない。それを見定めるのが運営の役目でしょう。「前しか向かねえ」ではやってられんのですよ。

 逆に「メンバーが前しか向かねえでもやっていけるようにする」のが運営の仕事でしょう。大組閣なんて派手な花火を打ち上げる前に、(SKEの場合だったら)6期ぐぐたすとか、Kzのスケジュールをちゃんと確保するとか、足元を確保するためにやるべきことはいくらでもあるでしょうに。足元が確保されてなきゃ、いくら精鋭だって勝てませんよ。沖田畷みたいなもんです。

 いままで勝てていたのは、そこに勝てるだけの状況があったからです。なんで負け始めているのか、それはこれまでに何度も書いてきたので、ここでは改めて書きませんが、なぜいままで勝ってきたのか、なぜいま負け始めているのか、ちゃんと見定めましょうよ。「前しか向かねえ」とか言って目を背けずに。そうじゃなければ、頑張っているメンバーが報われませんよ。

 しっかりしてよ。運営。