『キャプテン・フィリップス』
CAPTAIN PHILLIPS
2013年アメリカ、134分
監督:ポール・グリーングラス
主演:トム・ハンクス
概要
2009年のソマリア海域人質事件をテーマに、海賊に拉致されたコンテナ船船長をトム・ハンクスが演じたドラマ。船員の救出と引き換えに4日間にわたって海賊の人質となった船長の運命と、海軍特殊部隊ネイビーシールズによる救出作戦を、緊張感あふれる演出で活写する。原作は、船長リチャード・フィリップスが著したノンフィクション。『ボーン』シリーズや『ユナイテッド93』などのポール・グリーングラス監督が映画化した。船長としての誇りと拘束された恐怖を体現するトム・ハンクスの熱演と、リアルで迫力ある救出劇が見どころ。(Yahoo!映画より)
感想
正直、あなどっていたな…「実話」ということで、地味なドキュメンタリータッチのものか、あるいはオタメゴカシに感動要素を取り入れたヒーローもの/アクションものを予想していた。それは多分、予告篇を含めて宣伝の打ち方が悪かったんじゃないかという気がする。
でもこれは、紛れもなく「映画」だった。久々にガツン!と来た。アトラクション的な『ゼロ・グラヴィティ』と映画的な『キャプテン・フィリップス』…両極端だけど、とても質の高い作品を送り出してくるハリウッドの底力を感じる。
交差するいくつかの運命。説明的な前半から、スリリングな中盤へ、そして一気に緊迫感が高まる後半。いつのまにかグイっと引き込まれてしまう。そしてあっという間にエンディングへ。気が付けば涙が流れていた。トム・ハンクスの演技も圧巻だ。
これは、なにかとても悲しい話だ。「どうしようもない」ということが、どうにも堪らない気持ちにさせる。悲しいのは、それでもやっぱりムカついて、「こんな奴ら撃ち殺しちまえば良い」と思えてしまうこと。
主人公の「他に選択肢はなかったのか?」という質問に対して、海賊が「アメリカだったらな」と言う場面がある。そう…どうにも仕方ないということ、この世にはもっと余りにも大きな不条理が存在しているということ。彼らを責めるのは筋ちがいなのかも知れない。
だけど、ボクは最近、それじゃあダメなんじゃないかって気がする時がある。たしかにどうしようもない…教育とか医療とか、それ以前に目のまえの瞬間を生きるだけで精一杯だってのも分かる…分かるんだけど、でも、ひとつひとつの小さなことを踏ん張ってくれないと、乗り越えてきてくれないと…
なんだろうな…この世には大きな不条理があるということ、それでも個々が生きていかなければならないということ、最終的にこれはサバイバルなんだということ…。「正しくあることで」生き残れるためには、世界全体が正しくあらねばならないということ…。
少なくとも「ボクらの世界」では、それなりに「正しくあることで」生き残れるという状況になっている。でも、そうじゃない世界もある…そうじゃない世界もあるんだけど、でも、そうだからと言って、こっちの命を脅かされて「ハイそうですか」とも言ってられない…。
最終的にこれは戦いなんだから、こっちもヤラれてそれで「ハイ、オーケー」とはならないんだ、それは。そして結局、最終的には「撃ち殺しちまえば良い」と思えてしまう。それは何だかとても悲しい。とても悲しい話だ。
☆☆☆☆☆(5.0)