47 RONIN
2013年日本、121分
監督:カール・リンシュ
主演:キアヌ・リーヴス
概要
世界的スター、キアヌ・リーヴスを主演に迎え、歌舞伎や映画、ドラマなどで不動の人気を誇る「忠臣蔵」を大胆にアレンジしたアクションファンタジー。非業の死を遂げた主君の敵を討つべく集まった47人の浪士と異端の混血のサムライが協力し、数々の試練を乗り越え決死の戦いに臨むさまを描く。監督は、CMなどを手掛けてきた新鋭カール・リンシュ。共演には国際的に活躍する真田広之、浅野忠信、菊地凛子のほか、本作でハリウッド作初出演の柴咲コウに加え、赤西仁も名を連ねる。(Yahoo!映画より)
感想
『ロード・オブ・ザ・リング』…?
まあ、日本描写が間違っているのはいつものことだけど(なんで背後に五重塔があるのに、手前の川に鳥居があるんだ…)そもそも風景が日本じゃない(笑)
「吉良が天下統一に貢献した家で、浅野はただの旗本だった」とか元の設定ぜんぜん活きてねぇじゃんとか、まあそういう細かいツッコミは(ゴマンとあるけど)良いことにしよう。相も変わらず、中国風の要素が入ってくる衣装(ペニー・ローズ)も、まあ作品全体としては統一感が取れているとしよう。
でも、結局「日本」ってことに対する理解が不足しているのは隠しようもない。そして、この作品がダメなのは、それが作品の出来に直結しちゃってるところ。「忠義」とか「名誉」とか言ってるけれど、それって表面的な理解に過ぎないことが物語を通じて露呈してしまっている。それがもっとも如実に現れたのが姫の扱い(またこの柴咲コウ姫がメソメソするだけで何の役にも立たないんだ)。
お家取り潰しになって、しかも旧浅野領を手に入れたんだから、もはや姫がどうとか関係ない筈なのに、なぜだか吉良は姫と結婚することにこだわる。いや、それってもはや単なる恋愛感情だから(笑) だのに、大石たちが「姫を救出する」とか意味分かんないし、姫を救出したらお家が再興できるとかもっと意味が分からん。
だって、お家取り潰しは公儀の判断だから、武力でそれを覆すのは叛逆になるわけで、だからこそ実際に47士は切腹を申し付けられた。しかるに、それでお家が再興できちゃうんなら、どこの旧藩士たちでも新領主の首を獲ってしまえば良くなってしまうわけで、こんなおかしなことはないでしょ? だから、実際の47士はお家再興の望みが絶たれたあとに、純粋に「仇討」としてあれを行ったわけで、それが当時の人々の共感を生んだ。
(実際の赤穂浅野家は、弟で養子の長広がのちに綱吉死去の際の大赦で旗本としてお家再興を果たした)
一方、この映画は「姫救出」というハリウッド的な要素を付け加えることで、逆に「仇討」という純化された動機を薄めてしまっている。まあ、ボク自身は本当は赤穂浪士の話はあまり好きじゃないんだけど、この映画は史実どうこう以前に、物語の筋としておかしいし、動機が弱いから気持ちとしても入り込めない。
そもそも、この映画は、こういう風に要素を付け足すことで、「日本の美」というものに背を向けてしまっている気がする(足し算の映画作り)。中国風の要素を付け足され、華美に過ぎる衣装や美術。「仇討」という純化された目的に付け加えられた「姫救出」という現実的な目標。
本来、「日本の美」は、極限まで要素を引いていき、その最後に残る緊張感に宿るものだ(引き算の美学)。史実がどうとかそれ以前に、この映画はまるで恣意的に翻訳したことによって、ファンタジー要素も薄けりゃ日本要素も薄い「結局、誰得なんだ?」という作品に仕上がっている。
☆☆☆(3.0)