「女優etc.」その6(dark side) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


 AKB臭が染み付いてしまったなかで、どうやって女優としてやっていくか…

 まず言えることは、「AKB臭を自覚しましょう」ということですよね。おそらく、自分の身に染み付いてしまったそれを消し去ることは不可能なんです。だったら、それを利用するしかない。それを利用して、役の方を自分の側に引きつけてしまうしかないんです。どんな役にも(自分を捨てて)入り込めるなんて思い上がりは、とりあえず捨てることです。

 たとえば、織田くんはどのドラマに出ても織田くんになってしまいます。あるいは、青島刑事のパロディになってしまうと言っても良いけれど。だったら、役の方をそれに引き付けるしかないんですよ。

 あるいは、今度、パトレイバーの主演に抜擢された真野ちゃんの例を考えてみましょう。彼女はもともとハロプロのメンバーです。AKBにはAKB臭があるのと同様に、ハロプロにもハロプロ臭がある。だけど、それは利用しちゃえば良いんですよ。彼女は「SPEC」に登場していましたが、そのハロプロ臭を利用して、上手いこと役作りをしていました。なんというか、非常にカリカチュアライズされた演技だった。まあ、作品の方向性とか監督の嗜好とか色々あるでしょうが、あれはあれで良いんですよね。

 それと同じように、AKBが演じるものがすべてパロディになってしまうなら、パロディであることを自覚して、そのドラマに適したパロディ、より良いパロディになるしかないんですよ。

 いちど染み付いてしまったイメージはなかなか消えやしませんが、アイドルだって良い女優になれるんです。菅野美穂だって、仲間由紀恵だって、上戸彩だって、元はアイドルだったんですから(まあ、ボクには上戸が良い女優だとはとても思えませんが…一応、世間的には良い女優で通ってる筈です)。

 アイドルと女優は相容れないものだなんて言説を真に受けると、女優になりたい気持ちを利用されるだけです。イメージを壊すことで女優になれるなんて思わされて、単にキスシーンだけが売りのクズドラマに出されたりするんですよ。でも、結局それってただ、アイドルである(あるいはあった)ということを裏返しに利用するための制作者のエクスキューズであって、実際には何の価値もない。イメージを壊されたあげく、制作者や事務所の懐を少し肥やさせて終わり。そんなのは本当の演技とは違うんですよ。

(まあ、キタリエの事を言っているわけですけど、ボクはこれまでも、そういう例をゴマンと見てきました。あれほどの素質を秘めていた大塚ちひろがなぜ終わったか。例の写真集でイメージ転換したかに見える菅野だって、それ以前から既に良い女優だったんですよ。菅野はイメージ転換して女優になったわけじゃないんです)

 また、「アイドルと女優は相容れない」と似たようなタイプの言説で、「良い女優になりたければ恋愛をするべきだ」(=アイドルでいる限り良い女優にはなれない)みたいな言説も目にします。あれだって大嘘ですよ。だってそれは、「人殺しをしなきゃ、人殺しを演じられないか?」という話なんです。演技ってのは、まず第一に「わざ」*なんですよ。それは自分の感情を引き出す「わざ」でもあるわけです。そして、「わざ」は訓練によって鍛えられるものです。
*(技とセンスが密接に結び付いているのは言うまでもありません)。

 「恋愛云々以前にやらなければならないことは山ほどある筈でしょう?」という話なんです。たとえば公演だって、歌詞の意味と振り付けを理解した…じゃあそれで出来るか? やっぱりできませんよ。日々のレッスンがモノを言うんです。公演に対してはそう考えられるのに、演技に対してはそう考えられない。なにも装備せずに現場に行って、そこでただ言うことを聞いて帰ってくる。それは変ですよ。

 もちろん、経験が重要だってのは確かでしょうし、それによって、演技の引き出しが増えるのもまた事実でしょう。だけどそれは、森を歩いて風の匂いを感じたり、草原に寝そべって太陽の眩しさを感じたり、映画や舞台を見たり、電車に乗って、いろんな人を観察して、話をして…という経験の総合が物を言うのであって、恋愛をすれば良い女優で、恋愛をしなければ悪い女優みたいな、そんな単純な話ではありえませんよ(だったら、試しにそこらのカップルを連れてきて演技をさせてみりゃあ良いんです)。

 そのような言説は単に、自分の思想を(強引に)演技論に結び付けているだけであって、真の演技論ではありえません。にも関わらず、こうした似非演技論がまかり通るのです。

 他ならぬ秋元さん自身よくそういうことを言うらしいですが、はっきり言わせてもらえば、彼のもとでマトモに育った女優がいましたか? おニャン子、チェキッ娘*、AKB…。誰一人いやしないんですよ。あの人は(イメージを操作する)アイドルのプロデューサーとしては超一流ですが、ことお芝居に関しては何の能力もセンスもありません。本当に女優になりたければ、彼の言うことはあまり信じ過ぎないことです。
*(チェキッ娘は直接プロデュースではないけれど)

 本当に女優になりたかったら、ちゃんとした演技論を学んで、良い監督に出会い、地道にやっていくしかない筈なんです。だからこそ、ボクはAKBには演技メソッド*が必要だって言ってるんですけどね…
*(「メソッド」って言葉を出すと、スタニスラフスキーシステムの話をしているのかと思われるかも知れませんが、必ずしもそういうわけではありません。スタニスラフスキーでも宝塚でも何でも良いけれど、とにかく一貫した演技理論がAKBには必要だと言っているんです)

 意図に反してネガティブな話になってしまった。次回はもう少し希望のある話をして、このシリーズを終えたいと思います。

つづく