『カラスの親指』
2012年日本、160分
監督:伊藤匡史
主演:阿部寛
内容紹介
「月と蟹」で直木賞に輝いた作家、道尾秀介の小説を実写化。ワケありの詐欺師コンビが、ひょんなことから共同生活を送ることなった姉妹と青年と共に一世一代の勝負に挑む姿を活写する。『テルマエ・ロマエ』の阿部寛とベテラン芸人の村上ショージが詐欺師コンビにふんし、絶妙な掛け合いを披露。共演には『北の零年』の石原さとみ、『グッモーエビアン!』の能年玲奈、『トウキョウソナタ』の小柳友など、バラエティー豊かな顔ぶれが集結。全編にちりばめられた伏線が一気に回収される、ラスト20分に圧倒。(Yahoo!映画より)
感想
原作物の良いところは、それがパッケージとして完成されていることだ。脚本執筆とドラマ制作が同時進行していくようなTVドラマとは違って、ラストまでの構成が、最初の一行目から意識されている。それが、この映画では(↑の紹介文にも書かれているように)「伏線が一気に回収される」というところに結び付いている。そこに至る過程は、非常に面白い。
ただ、媒体の問題は少しあるのかも知れない。映像の場合は文字よりも遥かに情報量が多いから、よっぽど力量のある監督でもない限り、画面上の情報をすべてコントロールするのは難しい。だから、文字だったら納得できても、映像だと少し説得力に欠けてしまう場合がある。
この映画も、筋は良く出来ているし、伏線を回収していく展開は見事だと思うけれど、よくよく考えて見ると、わりと「偶然の要素」が含まれていることに気付いてしまう。「あれ?それって運が良かっただけじゃない?」…みたいなね。すべてが計算され尽くしていて、「おお…」って背筋が凍るほどの映画ではないってことかな。
そんなことも含め、監督の手腕は、まあ平均的な感じ。演出のリズムは悪くないし、分かり易く作ってある。ただ、原作の問題なのかも知れないけれど、「良い話」として見せることには、ほぼ完全に失敗している。そういう雰囲気を醸し出そうとしているんだけど、上手くいっていない。
出演者の中では、さすがに阿部ちゃんが安定してる。ショージ兄さんは、お世辞にも演技が上手いとは言えないけれど、雰囲気はGood。石原さとみちゃんは、ほぼ空気。能年玲奈ちゃんに完全に持っていかれてしまっている。
まあ、色々と欠点はあるけれど、展開の妙に引き込まれるし、見終わったあとにもイヤな気分が残らない。なかなかの佳作だと思う。少なくとも、見て損をするような映画じゃない。
☆☆☆☆(4.0)
P.S.
そう言えば、ユーちゃんが冒頭にチラッと出ていてボク得だった(* ̄艸 ̄)
映画「カラスの親指」予告編