もう、誰の卒業にも私は
「おめでとう」
ではなく
「ありがとう」を
大矢真那
『Kill Wyvern』
なんだか何も考えられん。頭がボーッとしている。遥か遠い昔、リナがAVに行った時から、ボクらは気づいていた筈だ。ボクらの見せる夢が、時に彼女たちを引き留める力を持たないということを。
アイドルとしての夢なんて、結局のところボクらの夢に過ぎない。その場にあって共有できるだけの、かりそめの夢。ほころび始める絆は、現実とのひずみに引き裂かれ、そして、いつしか夢から覚める。ボクらは、彼女たちの手を握ることは出来ても、彼女たちの夢を掴んでいることは出来ない。
繰り返される「前向きの卒業」という名の目覚まし時計。ボクらの夢から去っていったみっきーが、「夢をあきらめないで」と言った時、ボクらはどう反応すれば良いんだろう。ボクらに夢を与えてくれたしゃわこが、「このままでは夢を語れない」と言った時、ボクらに何ができるだろう。
ボクらには、ボクらの夢を守っていく力がない。
ボクが大好きなるみは、いつだか、るみらしい直裁的な表現で「お金は大事だよ」と言っていた。ボクは、それに全面的に賛成だ。賛成だ…AKB48だって、マーケットの中で成長してきた。お金がなきゃ何もはじまらん。夢は現実の上に成り立っている。
終わりなき世界の中で終わりなき夢を見る。そこで戯れる花の精霊たちは、永遠の影を纏いながら、あまりにも儚げな姿をそこに刻みこんでいた。12時を過ぎれば、魔法は解ける。そんなに簡単には割り切れないけれど。
Kill Wyvern
幻想を支配する青色の翼竜は、
現実という光の中で力尽きる。
Wyvernよ、その時、お前は…
彼女たちのために死んでくれ。
