Bf-33 | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


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 プロテスタント地区。低所得層が多いこの地区では、1960年代以降、北アイルランド紛争(The Troubles)と深刻な社会経済衰退の影響によって、人口が急激に降下し、住宅の廃屋化が進んだ*1。
 地区再開発のため、この画像が撮影された2012年10月時点で、この区画のテラスハウスは完全に廃屋と化している。テラスハウスは長屋同様で、ひとつの家だけを建て替えるわけにはいかないらしい。「まさに、運命共同体…」、そんな言葉が思い浮かぶ。

 現在は、社会開発省が主導する「住宅/地域再生戦略」がスタートしており、上の画像に写されているテラスハウスも2013年4月現在、ほぼ全てが取り壊されている*2。
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 上画像の右側にあるテラスハウス。窓板にされている落書きには、「BNP」(British National Party/イギリス国民党)や、「NF」(National Front/国民戦線)などのイギリス極右政党の名が見える。奥にはもっと物騒な「KKK」の落書き。

 先鋭的な民族主義やナショナリズムが、人種差別やゼノフォビア(外国人嫌悪)につながるというのは、どうも万国共通らしい。排他主義が互いに「共通」しているってのは、なんだかとても奇妙で、悪い冗談みたいに思える。

 そう言えば、(あえて触れなかったけど)以前のBfシリーズには、「NF」と並んで、「ハーケンクロイツ」が描かれている場面があった(12)。レイシスト(差別主義者)にとって、時にナチスはideal(理想的)な存在と見なされる。


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 南側の区画(画面左)では、建て替え工事が進んでいる。画面奥の右側が、上に載せた落書きのテラスハウスが建ち並ぶ通り。新旧の対比が興味深い。手前の壁には、「UFF」(Ulster Freedom Fighters/アルスター自由の戦士団)の落書きがある。

 「UFF」は、プロテスタント系最大の武装組織である「UDA」(Ulster Defence Association/アルスター防衛協会)の別名であり、1971年に設立。1973年に非合法組織(テロ組織)に指定された。一方、その甲斐あって(?)「UDA」の方は、1992年までは合法組織として認定されていた(1992年に非合法化)。

 「UDA/UFF」は1994年に休戦宣言、しかし、その後も散発的に闘争を続け、ようやく2007年、公式に武力闘争を終結した。彼らによる犠牲者は、260人(市民197人を含む)に及ぶと云う*3。

 この画像は2012年に撮影されたものだが、これらの落書きは比較的、新しいように見える。この街では、2013年現在も、政治問題に由来する暴力事件が(完全には)途絶えていない。一般論として、街の荒廃は治安の悪化と比例する。無垢な新居は、人びとの心境に何か変化をもたらすだろうか。