偶像のかなた 5. 島崎遥香 | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


『偶像のかなた 5』

島崎遥香
(AKB48/チームB/総選挙23位)


「Ponkotsu」


 去年、ブレイクを果たし、AKBの顔のひとりとして定着してきた<ぱるる>(島崎遥香)。何より、彼女がセンターを張った≪永遠プレッシャー≫は、わりと様になっていた。次世代エースとして、これは大きかったんじゃないかと思う。

 そんな<ぱるる>を、次世代エースを争うライバルとして名指ししていたのが、他ならぬ<まゆゆ>(渡辺麻友)。普通、そういう質問は避けて通ると思うんだけど、ある番組で、<まゆゆ>はハッキリと、<みるきー>(渡辺美優紀)、<珠理奈>(松井珠理奈)、そして、<ぱるる>の名をライバルとして挙げていた。

 ボクは、その人選は的を射ていると思ったし、さすが<まゆゆ>だと思った。何より、そういう場所でハッキリと答えられるのは、自分なりのアイドル像というものを、アイドルというのはこうあるべきだという理想像を、心の中に明確に描いているからだ。

 自らの内に、何らかの芸術の観念を持っていない芸術家はいない。それと同じで、自らの内に、何らかのアイドルの観念をもっていないアイドルはいない。この観念(物差し)に従うことで、作品(アイドルの場合はアイドル自身)を点検し、真っ直ぐに自らが目指すものに突き進んでいける。そして、この観念がクリアであればあるほど、この人が(芸術家/アイドルとして)何かを伝える力は強くなる。

 そういう意味において、<ぱるる>も<まゆゆ>と似たようなところがある。<ぱるる>が、他のメンバーに対して、アイドルとしての点数をつけているというのは、ファンの間では有名な話だ。とくに興味深かったのが、『有吉AKB共和国』での一コマ。フレッシュレモン市川美織の採点を聞かれて、彼女はすぐにこう答えた。「以前は90点、今は40点」。

 <みおりん>には、ちょっぴり可哀想だけど、これはボクも何となく分かるんだ。加入当初は、とんでもない子が入ってきたと思ったけれど、最近はどうも今ひとつ。それは、おそらく、ボクが飽きてしまったということ以上に、どうも、<みおりん>はフニャフニャし過ぎていて、芯がないと感じるから(ホントに良い子だけどね)。

 さらに<ぱるる>の辛口採点は止まらない。隣に座っていた同期(かつ旧チーム4のキャプテン)の<みなるん>(大場美奈)の評価は、驚くべきことに「5点」。5点て(笑)。<みなるん>は旧チーム4の中でも人気メンバーのひとりだし、そのルックスはAKBの中でも上位に入ると思っていい。だけども、「5点」。その理由は「清純さが感じられないから」。

 ファンは誰でも知っている話だけれど、かつて<みなるん>は、過去の恋愛が(あまり良からぬ形で)明るみに出たことで、謹慎処分をくらったことがあった。もちろん、それに直接に言及したわけじゃないけれど、<ぱるる>がそのことを言っているのは明らかだった。<みなるん>は少し絶句していたと思う。

 まあ、それでも批判覚悟で戻ってくる人を、ぼくは応援したいと思うけれどね。でも、たしかに、アイドルとしては、それは致命的なんだ。それは誰しも言いづらいことだけれど、でも同時に(アイドル好きは)誰もが何処かで感じていること。友達だろうが同期だろうが仲間だろうが、それをハッキリ言えてしまう<ぱるる>は凄いと思った。それはつまり、自分自身に対しても、そういう冷徹な目が向けられうるということを、明確に意識しているということだろうから。ホントに強い人でなければ、ああいうことは言えない。

 よく、「ポンコツ」と言われる<ぱるる>だけれど、後述するように、それも良く考えてみれば、一面、こうした強さから生み出されているものだということに気付く。

 <ぱるる>は確かに「ポンコツ」だ。オーディションなのに歌いもしないで、ただ突っ立っていたという有名なエピソードがある(それでも受かったというのがまた凄いけど)。何でもこなせてしまう<さや姉>(山本彩)や、<珠理奈>に比べれば、総合能力は遥かに見劣りするだろう。<ぱるる>に倣うわけじゃないけど、<ぱるる>の能力を数値化するならば、「ルックスは90点(声質も良いけど)、それ以外はみんな30点」とか、そういう話になってしまう。

 でも、<ぱるる>の場合は、不思議とその「30点」が足を引っ張らないで、ルックスそのままの「90点」で、アイドルとして勝負できてしまうところがある。アイドルといっても、ルックスが全てではない。ルックス的には秀でていても、アイドルとしては魅力がない子なんて山ほどいる。だから、<ぱるる>のそれは、少しばかり不思議な能力だ。

 それは、実は<ぱるる>の「ポンコツ」にそのヒントがあるんじゃないかとボクは思う。以前、<ぱるる>は、ある番組で、メンバー何人かと一緒に、韓国軍に体験入隊したことがある。もちろん、他のメンバーにとっても、それはムチャぶりなんだけど、それでも何とかこなしていた。その一方で、<ぱるる>の「ポンコツ」ぶりたるや、半端ないものだった。言われたことを何ひとつ満足にこなせない。それがたとえば、「もっと声を張れ」といった、心構えひとつでどうとでもなるものだとしてもだ。

 こういう時、目端の効く子は、言われたことをさっとやる。考えるよりも前に体が動く。それはまた同時に、軍隊で求められているものでもある。でも、<ぱるる>はそうじゃない。あの子はきっと、自分で納得できなければ体が動かない子なんだろう。それは端から見れば、たしかに「ポンコツ」かも知れない。(かわいそうに、あれはきっとトラウマになったと思うよ。軍隊では「自分の考え」や「納得」なんて何の価値もない)

 でも、ボクはこうも思った。<ぱるる>はきっと、かなり頑固な子だ。周りがどう言おうが、彼女は自分が納得しなければ動かない。そして、それはアイドルとして重要な資質だ。

 なぜならば、有名になればなるほど、周りには色んな連中が集まってくる。訳知り顏で教訓を垂れる業界人もいるだろうし、またその一方で誘惑も増えるだろう(アイドルってのは「宗教」だから、そういうヤツが語る「常識」は、大抵の場合、アイドルという観点からすると、とんでもなく間違っている)。でも、心の中に、アイドルというものに対する信念、その理想像を「頑固に」抱えていれば、そういうものに惑わされずに済む。

 時として、愛すべき欠点として捉えられる<ぱるる>の「ポンコツ」は、実は偉大な才能なんじゃないかとさえ、ボクには思える。(まあ、こういう言説は、最近は多いんじゃないかと思う(^_^;)>人気者だからね)

追記:
ボクにとって、↓の動画のもっとも「美しい瞬間」。それは0:12。<みなるん>と腕を交差させた直後に、(おそらく)マイクの位置を確認するために、ふっと斜め下を向いた<ぱるる>のうつむき加減の横顔。(美は文脈の内に宿りながら、瞬間的に訪れる)