
『混濁、あるいは浅き夢見し』
-夢日記-
夢を見た。
ボクは電車に乗っている。ウトウトして、間違って、ひとつ前の駅で降りてしまう。「仕方がない。バスで行くか…」
<藤沢行き>のバスに乗り込むと、以前にどこかで見かけたような集団が、後から乗り込んでくる。女子高生だか女子大生の修学旅行か研修旅行、そんな感じだ。
バスは海側の道を通る。ボクは、彼女たちを追いかけてきたストーカーだとか、オウムの信者だとか思われたらイヤだなとか考えながら、窓の外を眺めている。
目的地につく。先ほどの集団の中から、見覚えのある美少女が出てきて、ボクの顔を覗きこんで、こう言う。「お兄さん、眼が悪いね。ダメだよ(それじゃあ)」
・・・
少しだけ意識が醒め、そしてまた深い眠りに落ちていく。
・・・
ボクは部屋であの子を抱いている。あの子は、ボクの胸に身体を預けながら、スヤスヤと寝息を立てている。ぬくもりの感覚。何てことのない時間。
瞬間、眠りが浅くなり、ボクは、これが夢だってことに気付く。そして再び微睡む。ここは、時間のない世界。「青い花っていうのは、未来と過去とを結びつけることなんだ…」
ボクはまたあの子を抱きながら、TVを見ている。ランキング形式で過去のヒット曲を振り返る企画。世紀末のメロディ。SPEEDにスマップ…母が、「この頃はAKBがランキングに入ってないんだね」なんて、間の抜けたことを言っている。ボクは応じる。「そりゃそうだよ。この頃は、モー娘。の時代だったんだ」
2000、1999、1998…時間が遡っていく。あの子を抱きながら、その数字を眺めているだけで、ボクの眼には涙が溢れてくる。1992から2008までの数字を見るとき、ボクは必ず、2008からその数字を引く。1993とか1994は良いな…まだ、15も残っている。
あるグラビア・アイドルが、なにかを懸命に話している。「だって、かけがえのないものは、代えが効かないんです」…ボクにはなぜだか、そんな同語反復的な話をするアイドルと、かつて一緒に暮らしていた記憶がある。
部屋とテレビの境界が曖昧になる。ボクはテレビの中にいる。ある屋敷で間違い探しをする企画。「あの窓だ…あの窓は描かれてるんだ。なんで誰も気付かないんだ」
・・・
間違い探しは、あらぬ方向に進んでいく。阿蘇の近くで、「ある婆さんが神憑りになった」という情報が入る。地図が渡される。数本の線が描かれただけの簡単な地図。こんな地図で、どうやって探せっていうんだ…だいたい、ホントに神懸かりかどうかなんて、どうやって確かめるんだ…
彼らは、何か不滅のものを期待している。ボクはずっと胸に抱いているあの子に語りかける。「六本木ちゃん、あいつらに言ってやってよ」
(…六本木ちゃん?…なんで六本木ちゃんなんだろ?…「六本木」なんて名前、どこから来たんだろう?…注:ちなみにホントは全く違う名前)
六本木ちゃんは、彼らに向かってこう吠える。「ボクは、もう死んでいるんです」
有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ 酔ひもせず… 夢と現実のどちらが真かなんて、誰に決められるだろう…