水彩画は優しい。
だけど、飽きてしまう。
「アウラが感じられない」というのかな。どうも聖性が弱いように感じられる。もしかすると、それが(時代的な問題はともかく)水彩画に宗教画が向いていない理由なのかも知れない。
似たような風景画が並ぶなか、第3章の頃には、ボクは倦んでしまった。
それは、第4章のターナーによって覆される。彼は物体を色彩で捉える。時には山水画のように、時には音楽のように、自由に色を滑らせていく。その圧倒的な力量。

J.M.W.ターナー
≪ルツェルン湖の月明かり、彼方にリギ山を望む≫1841
とりわけ、素晴らしいのが、ポスターの表紙にもなっているこの絵。山並みにかかる雲の描写。そこを透き通す陽射し。湖面を縦断する光。シルエットになった桟橋上の静かな動き。湖面右側の木々たち、左側に屹立する城館の尖塔。全体を包む空気。ありきたりな言葉だけれど、ここには世界がある。
第5章に入り、象徴主義とかが出てくると、ぼくは再び飽きてしまった。
ターナーだけが孤絶している。
--あらゆる詩は夜に生まれる--
「マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵 - 巨匠たちの英国水彩画展」
渋谷、Bunkamura ザ・ミュージアムにて、12/9まで