『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』
2012年日本、126分
監督:本広克行
主演;織田裕二
概要
テレビドラマ、映画共に絶大な人気を誇り、映画版では数々の記録を打ち立てた『踊る大捜査線』シリーズの劇場版第4弾にして最終作。警察が押収した拳銃が絡む殺人事件を皮切りに、第2の殺人、そしてユースケ・サンタマリア演じる真下湾岸署署長の子どもの誘拐事件が発生し、織田裕二ふんする青島ら湾岸署のメンバーが捜査に奔走する。織田、深津絵里などのレギュラー陣、前作から加わった小栗旬のほか、犯人役でSMAPの香取慎吾が出演。青島たちにいかなる試練が待ち受けるのか、15年の歴史に幕を下ろすにふさわしい派手な展開に期待。(Yahoo!映画より)
感想
これ、ものすんごく評価に困りますな…もう、脚本が荒唐無稽なのは良いことにしましょう。警察機構への剥き出しの敵愾心が違和感ありありなのも目を瞑りましょう。もう最後なんですから。でもな~…な~んか、こう…カタルシスがないのかな…ま、取り敢えず振り返ってみることにしますか。
序盤~中盤はなかなか良いです。『3』よりも遥かに良い。新メンバーもようやくこなれてきて、やっと「踊る」が帰ってきたって感じがしましたね。新しい状況を説明する必要がなくなって、ちゃんと主要メンバーに焦点を当てられたことが大きいと思います(前回のユーちゃんの扱いとか酷かったからね…)。それぞれの登場人物、それぞれの歴史-それはまた踊るファンの歴史でもありますが-を大切にしているようで、とても好感を持ちました。
この序盤は笑いのリズムも良いです。スリーアミーゴスも健在。織田くんは相変わらず織田くんですし、すみれさんも室井さんも(あれ、なんでこの2人だけ役名なんだろう…?)…それから、小栗くんがカッコ良し(*^_^)b…内田有紀さんもはまってるし、小橋めぐみさんもカワユイ(こまっちゃんもね)…前回のSPドラマで「あんなチョイ役で出るの?」って思ってたけど、小橋さん、そういうことなのね(* ̄艸 ̄)
-intermission-
さて…ここからは一転して批判になります<(__)>
まずは脚本(君塚良一さん)ですね。やはり、どうしても荒唐無稽な部分があります。現実世界というよりも、まるっきり別世界のお話みたいに感じてしまうところが何度もありました。不可解な犯人の行動-心理-動機、警察機構に対する無理解、犯人へと辿り着く道筋の粗雑さ、クライマックスシーンの余りにもバカげた決着(これは演出の問題かな?)…これらはやはり、この作品全体の完成度を著しく阻害しており、鑑賞後の満足度にも大きく影響を及ぼしているように思います。
脚本に関して、もう一つ指摘したいのは、交渉課に対する扱いです。穿ち過ぎな見方かも知れませんが、自らが脚本を手掛けていない『交渉人 真下正義』&『逃亡者 木島丈一郎』(脚本:十川誠志さん)に対する当てつけでもあるかのような扱いでした。小泉孝太郎くんの捨て駒のような使い方は何だと。ムロくんに至っては、もはや居る意味すら無かったじゃない(彼、とても良い俳優さんなのに)。今回は寺島さんも登場しないしね。意識的にせよ無意識にせよ、(オリジナルメンバーとは)扱いに余りにも落差がありました。今回、原点回帰でもあるかのようにオリジナルメンバーを大切にしていたために、それはとても目立ちましたね。(まあ、局的には「深夜も~」でバランスを取ったつもりなんだろうけど)
自分が脚本を書いたドラマの設定を大切にするなら、『交渉人』や『逃亡者』の設定も大切にして欲しかったです。それもまた「踊る」の一部なんですから、それはすなわち、ファンを大切にするってことに他ならなかった筈なのです。僕にとって『交渉人』&『逃亡者』は「踊るシリーズ」の進むべき未来を見せてくれるものでした。十川脚本は君塚脚本のような湿っぽさはほとんど感じられず、どこか垢抜けしたものだったのです。21世紀型の「踊る」はそういう方向に進む道もあり得た筈でした。
たしかに、そうした垢抜けなさこそが「踊る」本来の味でもありますが、そのジメ~っとした感じが、この交渉課(&警察上層部)に対する扱いにはモロに悪い方向で出てしまったような気がします。「結局、この人はファンよりも自分(のプライド)の方が大切な人なんだな~」という不信感が心に根差すのをボクは抑えることが出来ませんでした。そして、それこそが「踊るシリーズ」が冴えない終焉を迎えた原因なんだとね。(思い起こせば君塚氏が脚本&監督をした『容疑者 室井慎次』は最低の映画でした…あれから全てが狂い始めたのです)
それから監督の本広さん。彼の場合は逆にサービス精神旺盛過ぎるんですかね~…全てを台無しにしたクライマックスシーンは彼のサービス精神が行き過ぎた結果だったような気もします。本広さんの映画ではヨーロッパ企画の舞台を映画化した『サマータイムマシン・ブルース』と『曲がれスプーン』が圧倒的に素晴らしいんですが、舞台は基本的に無茶苦茶なことは出来ませんから、必然的に台本もそうした制限に従って書かれるわけです。その台本を基に作られる映画もやはり抑え目なものになるわけで、そうした制限が逆に本広さんには合ってるんじゃないでしょうか。制限がないとやり過ぎちゃうんですよな本広さん(* ̄艸 ̄)
それからこれは(脚本にも)声を大にして言いたい。あの終盤の展開と、あのラストシーン。「いや、チームワークでしょ!チームワーク!」…多分ね~…これはボクの個人的な好みの問題なのかもですが、舞台的な(それこそ劇的な)終幕を期待していたわけですよ。本広さんは映画学校出だからそういう発想はないのかも知れませんが、あれは例えば三谷さんだったら、きっともっと上手い「終幕」を作っただろうなという気がしちゃいます。終わりよければ全てヨシ…だった筈なんですが…なんか、「あ~、終わった~…」って感じがしなかったのです。「カタルシスがない」ってのはその辺かな…←従ってレビューも歯切れ悪く終わる
☆☆☆★(3.5)