euro雑感7 | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


イタリア1-1クロアチア

 王者スペイン相手に5分の試合を演じたことで一躍評価を上げたイタリアですが、この試合では課題も見えました。2試合連続で先制しながら、2試合とも同点に追いつかれて引き分けに終わったのです。かつてのイタリアだったら、こんなことはちょっと考えられないのですが、ぶっつけ本番で3バックに挑戦し、本来はボランチのデロッシをCBで使っているので、ある程度は止むを得ないことかも知れません。ただ、3バック自体は機能しているように思うので、今後もこれで行くでしょう。ちと、大会直前にアンカーシステムを導入して蘇った2010W杯の日本を思わせるところがあります。
 ただ、何せぶっつけ本番で導入したシステムですから、応用が効かない可能性があります。思い起こせば、あの時の日本代表も、登録メンバーを決めたのちにシステムを変更したことによって、実質的に使えなくなってしまった選手が生じ、スタメンを固定して戦わざるを得なくなりました。そのため、トーナメント一回戦のパラグアイ戦の段階ではチームが疲労困憊の体で、結果、後手後手を踏んで敗退を喫したのでした。
 もちろん、(衰えたとは言え)イタリアの控え組にはディナターレやモントリーヴォを始めとして優秀な選手が揃っています。日本と一概に比較することはできないでしょう。しかしながら、ぶっつけ本番でシステム変更をしたシワ寄せは、必ず何処かに生じてくる筈です。そこを乗り切ることが出来るか。それがイタリアの浮沈の鍵になると思います。

 一方のクロアチアも、黄金期に比べればケレン味はないのですが、纏まりのあるなかなか良いチームです。2トップは着実に仕事をこなしますし、二列目にはモドリッチ、ラキティッチ、ペリシッチと技術の高い選手を揃えています。やや後ろに不安を感じないこともないのですが、GKプレティコサの調子も良いみたいですし、攻守にバランスの取れた好チームだと思います。


スペイン4-0アイルランド

 ここはさすがに差がつきましたね。何より驚いたのは、スペインのデルボスケ監督が、前節イタリア戦で決定的なチャンスをことごとく外していたF・トーレスを先発で使ってきたこと。これには多くの人が意表を突かれたのではないでしょうか。ただ、試合が始まってまもなく、その意図は明らかになりました。おそらく、デルボスケ監督の意図は2つあったのでしょう。

 ひとつはトーレスに自信をつけさせること。チェルシーに移籍してから彼が不調に陥った最大の理由は精神面にあるとボクは見ています。アトレチコやリバプール時代には絶対的なエースとして君臨してきましたが、チェルシーにはドログバという偉大な選手がいることもあり、トーレスはその加入当初から前線の駒のひとつという扱いだったのです。そのことが彼に(ゴールを決めなければいけないという)プレッシャーを与え、プレーを硬くしました。そしてプレーは輝きを失い、それによって信頼を失い、さらにプレッシャーを受けるという悪循環に陥ってしまったのです。
 この大会初戦のイタリア戦でも、その悪循環を引き摺り、途中出場したトーレスは決定的なチャンスを外しまくりました。それにも関わらず、デルボスケ監督は彼を構想から外すどころか、逆に先発で使ってきたのです。このメッセージは非常にはっきりしていると思います。それは「ゴールしようがしまいが、私はキミを高く評価しているし、キミの力が必要なんだ」ということです。
こんなことを言ってしまうのはなんですが、今大会のアイルランドは、スペインにとってみれば、それほど苦もなく勝てる相手でした。したがって、トーレスに自信を取り戻させるには絶好の相手だったわけです。トーレスは、監督の期待に応え、この日、2ゴールを叩き込みました。デルボスケ監督の天晴れな采配だったと思います。さすがにW杯優勝監督、人心掌握術の粋を見た気がしましたね。

 もうひとつの理由はもっと実際的なものです。雑感でも触れたように、イタリア戦のスペインは裏に抜ける動きが足りませんでした。本来ならビジャがその役割を務めるのですが、彼は負傷によって召集されていません。もうひとりのFWであるジョレンテは、どちらかと言うとポストワーカーですから、この動きを求めるにはやや不向きです。必然的に残るはトーレスしかいないのです。イタリア戦でも再三に渡ってチャンスを掴んでいたように、コンディション自体は良さそうなので、デルボスケもトーレスに賭けてみる気になったのでしょう。そして、その賭けは見事に当たったわけです。
 控えに回され、途中出場したセスクも鬱憤を晴らすように素晴らしいゴールを奪い、もうスペインにとっては言うことなしの試合でしたね。

 アイルランドにも一言。敗退が決まってしまいましたが、大負けしているゲームでスタジアムに響いたサポーターの大合唱。チームもサポーターも清々しさが印象に残っています。