「と学会」というものをご存じでしょうか。
「世間のトンデモ本やトンデモ物件を品評することを目的としている」(wiki)
グループです。会長の山本弘さん作『MM9』については書評を書きましたね。
アイザック・アシモフやカール・セーガンなどの科学的懐疑主義者たちと、
トンデモ本をあげつらう「と学会」の姿勢は割りと親和性が高く、
上記の2人を敬愛するボクにとっても、興味深いグループです。
特にボクが喝采を送りたいのが『アポロ計画陰謀論』に対する反論です。
『アポロ計画陰謀論』とは端的に言えば、
「アポロ11号の月面着陸は捏造であり、人類は月に行かなかったんじゃないか」
「すべてはNASA/アメリカの陰謀なんじゃないか」というやつです。
↑捏造説の主張と、それに対する反論が列挙されており、読み応えありです。
『アポロ計画陰謀論』は90年代から2000年代初頭にかけて流行し、
生半可な(特に文系の)知識人たちが踊らされる光景が続出しました。
その一例が作家の「田中芳樹」さん。
1992年に出版された『創竜伝8』の中で、
彼は次のような発言を登場人物にさせています↓
「でも月にどうやって住むの? あそこには空気がなくて生物は住めないでしょ」「そうね。月についてはいろいろな情報が公開されている。矛盾だらけの情報がね」瑤姫は頭のうしろで両手の指を組みあわせた。「アメリカの航空宇宙局(NASA)が公表した奇妙な月面写真があるでしょ。月面に着陸した宇宙飛行士がアメリカの国旗を立てている。その旗が垂れさがらずに、なびいている………」「あ、見た見た」「これが意味するものは何だと思う?」勢いよく、終は指を折った。「ひとつ、月には空気がある」「そうね。それから?」「ひとつ、あの写真は月以外の場所で撮影された」「それから?」「いまのところ、この二点だけで充分じゃないかな」すると余が異議をとなえた。「写真自体がつくられたものかもしれないよ、何かの目的があって」
『創竜伝8』p.170(1992年4月10日出版)
・・・まあ、この文章のイタイ感じはさておいて、
おそらく、この番組を見て書いたんじゃないかなと↓
同年にイギリスではエイプリルフールのジョーク番組として上記の俗説に基づいて「第三の選択(Alternative 3)」(製作アングリアTV)が放映された。1991年8月28日には同番組がフジテレビで放映されたが、このときは放送の最後に「4月1日」と日本語のテロップで表示されていた。
(wiki)
まあ、しかし、間違いを読者に指摘されたんでしょうな。
1994年に出版された『創竜伝9』では次のような記述が見られます↓
このとき始が語ったのは、西王母の娘で、つまり茉理の姉にあたる瑤姫から聞いた話である。アメリ力のアポロ宇宙船が月面に到着して、自分たちの領土でもないところに星条旗を立てた。その旗がはためいたので、月に空気があるとも思われたのだった。「じゃ始さんは月に空気があると信じているの?」「まさか」始は苦笑して手を振った。「あれは旗にそういう細工がしてあったんだそうだ。ただ、問題は、NASA-アメリ力航空宇宙局が情報を独占しているということなんだ。つごうのいい情報は公開し、つごうの悪い情報は隠し、ときにはデータを改変する。しかもそれを外部から検証するのはきわめて困難だからね」「そうね、民間人が月に行って真偽を確認するわけにいかないものね。かりにその旗が博物館に陳列されたとしても、真物かどうかは証明できないし」「だからさまざまな奇説も生まれる。まあ、それらは権威に対する反発なんだから、いくら科学的に反証されても、消えることはないだろうね。ナチス・ドイツや日本帝国やソ連みたいに、国家が嘘をついて国民をだましていたという実例はいくらでもある。NASAの管理する情報を頭から丸ごと信じこむというのも、かなりお人よしな話だな」「世の中には、お役所にだまされたくてたまらない人たちってけっこういるものね」
『創竜伝9』p.95 (1994年11月25日出版)
・・・もうさ、言葉もないよね(;一_一)
自分が勝手に思い込んでいただけなのに、
なぜだかNASAが悪いことになってる・・・
その上、「騙されたくてたまらない人たちが云々」とかホントに残念。
この文章からは、知性も良識も感じられません。
当時、中学生だった(と言いつつ学校には行ってなかった)ボクが、
田中芳樹さんを決定的に信用できなくなった文章がこれでしたね。

それはさておき、この記事のトーンからも分かるように、
ボクはいわゆる「アポロ計画陰謀論」を毛嫌いしてまして、
正直、この手の話を聞くと激昂してしまうんですよね…
つい先日も、国内で望みうる限り最高に近いレベルの教育を受けた筈の子が、
※東大の法科大学院卒。
この話を「割りと信じてる」みたいなことを言っていまして…
ボクも反論を試みたんですが、彼女、最終的に何て言ったかというと、
「学者がみんな、アメリカが怖くて、知っていることを隠してるのかもよ」
あ~あ・・・もう議論する気も失ってしまいまして、
ぼくは、かなり強い口調で「それじゃ、陰謀論じゃないか!!!」と…
いや、身内なんで悪く言うのは何なんですが、
どんだけ質の高い教育を受けても、○○は○○だな、と。
何だろうな・・・
荒唐無稽な陰謀論ってのも、色々あるとは思うんですが、
アポロ計画のような、人類みんなの財産を、叶えられた夢を、
わざわざ標的にしなくても良いじゃないか、そう思えるんですよね。
(もちろん、冷戦時代のアメリカの国策って側面はあるにせよ、ね。)
そんなボクが、「と学会」を素晴らしいと思えるのは、
彼らが『アポロ計画陰謀論』を笑い飛ばしてしまうことなんですよね。
怒りを通り越して笑ってしまうことで、その愚かしさが際立つ…
特に、副島隆彦さんの『人類の月面着陸は無かったろう論』を
徹底的に虚仮にした↓の文章は抱腹絶倒ものでしたな(* ̄艸 ̄)
P.S.
副島さんの『人類の月面着陸は無かったろう論』に関しては、
Amazonやアンサイクロペディアにも面白い文章があります<(__)>↓
・・・どうでも良いけど副島さんと田中さんのスタンス似てるな(* ̄艸 ̄)