十文字美信≪近眼旅行≫
さて、『詩的写真』シリーズ、第2回は
十文字美信さんを取り上げようと思います。
彼が26歳の時に撮った≪近眼旅行シリーズ≫は、
十文字さんの視力に合わせてレンズのピントを固定し、
実際に裸眼で見たのと同じように風景を撮影するものでした。
前回、「詩は主観的な立場から詠まれるものである」と述べましたが、
この十文字さんの試みは、写真という客観的装いを持ったものを、
十文字さんの視力に合わせてレンズの焦点を固定するという手法で、
主観的な方に引き摺りこんでおり、ゆえに詩的なものを感じさせます。
(実際、詩としての出来がどれほどかという観点は別にして)
また、いつか述べることもあるとは思いますが、
白黒写真は、日常を異化するという点において、
すなわち、日常を別のものとして見せるという点において、
そもそも、本来的に詩的なものであるということも指摘できるでしょう。
さて、次回は・・・
「主観的ではあるが詩的ではない例」として、
ナン・ゴールディンを挙げたいと思います。