『カラヴァッジョ 天才画家の光と影』
CARAVAGGIO
2007年イタリア/フランス/スペイン/ドイツ、133分
アンジェロ・ロンゴーニ監督
アレッシオ・ボーニ主演
概要
バロック絵画の先駆者として名高い画家、カラヴァッジョの生涯を描く歴史ドラマ。才能がありながら悲運な道をたどった画家の愛と栄光、挫折を演じるのは、『輝ける青春』のアレッシオ・ボーニ。『ラスト・タンゴ・イン・パリ』や『地獄の黙示録』の撮影監督、ヴィットリオ・ストラーロがカラヴァッジョが目にしたであろう色彩や光と影をスクリーンにも映し出し、素晴らしい映像とともに激動の人生を歩んだ希代の天才画家の魅力を堪能できる。(Yahoo!映画)
感想
こりゃヒドい・・・なんて陳腐な映画だろう。画家を題材にした作品って幾つかあるけれど、まともなものにはほとんど出会ったことがないような気がする。『パッション』は素晴らしい映画だったけど、あれは画家をテーマにした作品じゃない。『ゴヤ』は比較的良かったけど、『モディリアーニ』はヒドかった・・・これは、あれよりはマシって程度かな。大体、闇の部分が明るすぎる(ウソが感じられる)。
ぼくにとって、カラヴァッジョの絵っていうのは、一言で言うのならば「虚無」だ。表面だけが完璧に作られていて、その中には何もない。奈落の底を覗いてしまったような恐ろしさ。「ぼくらは極めて精巧に作られた人形(ロボット)と人間とを区別できないのではないだろうか?」ってのは現代的な認識論のテーマだけど、カラヴァッジョの絵を見ていると、それに通じるような感覚をぼくは覚える。空恐ろしいという言葉があるけど、(言葉本来の意味を超えて)それは正にカラヴァッジョのためにある言葉のように、ぼくには思える。
一方、この映画は(はっきり言って)お話にならない。「カラヴァッジョ物語」としては見られるだろうが、ここには、虚無の虚の字もない。ステレオタイプの人物像。反逆児を描いておきながら、全てが型にはまっている。作られた闇。偽りの影。メディアの違いを無視して絵画を再現することの滑稽さ。(『パッション』はメディアの違いに正面から向き合った作品だった。)≪聖マタイの召命≫に光が当たる部分などは、俗悪を通り越して吐き気を覚えるほどだ。ここには真実の光などない。ぼくが、カラヴァッジョの絵から感じるものは、ここには何ひとつとしてない。※名匠だって?こんな映像を撮っておいて、何が名匠だ。
☆☆☆(3.0)