2010W杯南アフリカ大会総括 | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
大会総括
 
まずは公式ボールに触れなければならないでしょう。
 
GKにとって恐怖の的だった今大会の公式ボールは、
 
その軽さによってキッカーにとっても扱いづらいもののようでした。
 
高地での試合が多かったこともあり、(高地ではボールが伸びるため)
 
特に大会序盤は各チームにパス・ミスが多く見られました。

また、決定的な場面でシュートをふかしてしまう場面も多かったのですが、
 
これも上記と同じ理由によるものでしょう。
 

結果として、大会の平均ゴール数はかなり少ないものになりました。

MVPを獲得したのはウルグアイのフォルランですが、
 
このボールに最もうまく適応したのが彼だったような気がします。
 
 
戦術面では、スペインが優勝したことによって、
 
攻撃的なマインドを持つチームが優勝したという論調が一部にありますが、
 
それはまったく的外れの見解です。

この大会のスペインは、まったく攻撃的なチームではありませんでした。
 
 
中盤の四人はいずれもボランチを本職とする選手でしたし、
 
それに加えて、ブスケツは守備専従のアンカーという役割を担っていました。
 

彼らの戦術は非常に単純明快なものでした。
 
つまり、圧倒的な技術力を持ってボールを支配する。
 
ボールを支配する時間が長くなれば、当然、失点をするリスクは減る。

さらに、選手間の流動性を低くしてボールを取られた時のリスクを抑える。
 
(相手の攻撃に切り替わった時に基準ポジションに戻り易い)
 
 
イニエスタとビジャは比較的自由に動いていましたが、
 
両サイドバックは縦の動きのみ、チャビは基本的に中央。
 
ブスケツはもちろん、シャビ・アロンソが攻撃に顔を出すシーンも少なかったです。
 
ウイングを置かないことで、縦への推進力にも欠けていました。
 

結果として、1試合の平均得点は約1点という少ないものでしたが、
 
それ以上に特筆すべき堅固な守備組織で優勝を決めました。
 
 
とはいえ、彼らが守備だけのチームだった訳ではありません。
 
セスクを投入した途端にチームが活性化することが再三ありました。

セスクは非常に頭の良い選手で、
 
相手の急所にパスを出すだけでなく、
 
自分で走り込むことも出来る選手です。
 

つまり、そうしてチームが活性化すれば、ゴールが生まれやすくなる。
 
しかし、チームが活性化するとは試合が活性化するという意味でもあります。
 
活性化した試合では両チーム共に点が入り易くなります。
 

スペインが強かったのは、自分たちの支配下に試合を置き、
 
失点のリスクを極力回避した不活性のスタイルで試合を続け、
 
そのままビジャあたりの個人技で点を取ってしまえればそれも良し、
 
点が取れなければ試合を活性化させてゴールの機会を増やす。
 
このように、試合の展開いかんに関わらず、
 
いかようにも対応できる選手層という最大の武器を持っていたことです。
 

これと対照的だったのがブラジルとドイツでした。
 
彼らは勝ち方を規格化していた。
 
従って、勝つ時は非常に強い勝ち方をしますが、
 
一端、自分たちのリズムを失ってしまうと脆かった。
 
とはいえ、超高速カウンターのブラジルと、
 
前線からプレスをかけてショート・カウンターを狙うドイツ、
 
見ていて最も面白かったのが、この両チームでした。
 
 
最後に日本に触れない訳にもいかないでしょう。
 
日本は敗戦の連続によって、大会直前に戦い方を変えました。
 
しかし、新しい選手の組み合わせがピタリとハマります。
 
イングランドのように、最後まで正しい組み合わせを
 
見つけられなかったチームの例を見てみるまでもなく、
 
この点は監督の功績に帰せられるべきでしょう。
 

しかし、これは偶然によって生じた結果でした。
 
今後も同じことを繰り返す訳にはいきません。
 
チームというのは、時間をかけて熟成すべきものだからです。
 

この大会を通して、日本は戦い方を固定化していました。
 
というより、それ以外の戦い方は出来なかったというのが本当でしょう。
 
いくつか実験めいたシステム変更を行いましたが、
 
その度にチームのバランスが狂い、元に戻さざるを得ませんでした。
 
バランスが狂った状況でも何とか持ちこたえて修正できたのは、
 
海外組やベテランを中心とする選手たちの経験値の賜物でしょう。
 

全ての試合でスターティング・メンバーが同じだったことも同じ理由だと思います。
 
つまり、変えられなかったのです。
 
それによって、レギュラー選手は消耗していきました。

パラグアイ戦で僕らが見たもの。それはこれらの結果でした。
 
疲労した選手の代わりに先発できる選手も、
 
途中で投入して効果を発揮する選手も居なかった。
 
当然です。
 
日本が戦い方を変更したのは選手選考の後だったのですから。
 
 
大会2週間前に戦術を変更した日本代表。
 
新しい戦術を熟成させるだけの時間も、
 
選手たちを新しい戦術に慣らすだけの時間も、
 
戦術に適した選手か見極めるだけの時間もありませんでした。
 

今大会、日本チームは素晴らしい戦いを披露し、
 
日本中が熱狂の渦に包まれました。
 
それに水をかけたくはありませんが、
 
冷静に勝因と敗因を分析することが、
 
日本代表の成長には必要不可欠だと思います。