
『眩暈』
「あれは良い、あれは悪い」そんな単純な言葉で分類して、自分が空っぽになるのを感じる。子どもたちは、何をあんなに話しているんだろう。目に映るすべてが新鮮ならきっと、話題を探す必要なんてないんだ。どこか遠くで聞こえる音。心に触れる感触。
ねえ・・・
さよならなんて、
早いか遅いかの違いしかないんだよ
僕は、世界の終わりを見に行くんだ
三半規管が焼け焦げて一歩も前に進めない。眩暈がする世界。回って回って回って回って列車は進む。聞こえてくるのは単調な音ばかり。クルクルと狂っていく調子。いつから吐き気を覚えたんだろう。為すすべもなくて。
ねえ・・・
遠くのものなら、
なくしたものにも気がつかないよね
僕は、世界の終わりを見に行くんだ
壊れた三半規管はクルクルと煩わしい音を立てる。焼け焦げた機構の中でリンパ液は蒸発していく。この不安定な大地に杭を打ち、宇宙の端に括り付けてしまおう。眩暈はどうしようもなくそこにあるけれど。
ねえ・・・
回り続ける世界の中
血の気の引いた顔で
僕は、「サヨナラ」を叫ぶんだ
目を閉じて、どこか遠くへ。宇宙の始まりよりも遠くの場所へ。川を渡る牽牛星。火と星と、焼けるような泉の中で、目が眩みながらも一直線に貫いていく軌跡。僕は微かに息を吐いて、どうしようもない眩暈と共に「サヨナラ」を叫ぶんだ。