-ティエポロ-
Giovanni Battista Tiepolo
《Finding of Moses》 c.1740

Oil on Canvas, 200x339cm
National Gallery of Scotland, Edinburgh
《Finding of Moses》 c.1740

Oil on Canvas, 200x339cm
National Gallery of Scotland, Edinburgh
画家特集第26回はジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
(Giovanni Battista Tiepolo 1696-1770)
18世紀イタリア、ヴェネツィア派の画家です。
ルネサンスの系譜にある最後の偉大な巨匠でありましたが、
死後、ナポレオンの侵攻でヴェネツィア共和国が瓦解。
その後の新古典主義の隆盛によって評価は零落しました。
しかし、彼の真価は美術館には展示できないフレスコ壁画で、
バロック時代の理想主義を結晶化したような彼の作品は、
近年、再評価の動きが高まっています。
上に掲載した《水から救い出されるモーセ》
モーセは云うまでもなく「旧約聖書」に登場する預言者で、
当時、奴隷として使われていたイスラエル人を率いて
エジプトから脱出し、約束の地へと導いた人物です。
この絵はファラオの命令(イスラエル人の男児殺害)
から逃れる為に、葦の船に乗せられて川に流されたモーセが
エジプトの王女に拾われるという場面が描かれています。
荘厳たる王女の風情を際立てる、煌く衣装の表現。
《Assumption》 1759

Oratorio della purita, Udine

Oratorio della purita, Udine
邦題《聖母の被昇天》
宗教画ではお馴染みの聖母マリアが天に召される場面です。
両手を広げ天だけを仰ぎ見る崇高な聖母の表現。
対照的に地上は老いや悲しみに支配されています。
汚れなき天上世界へと舞い上がっていく聖母は
既に地上とは別の世界にいるかのように見えます。
《Communion of Saint Lucy》 c.1740-1750

Chiesa dei Santi Apostoli, Venezia

Chiesa dei Santi Apostoli, Venezia
邦題《聖ルチアの聖体拝領》
聖ルチアは民謡サンタ・ルチアでも知られている聖人です。
ローマ帝国のディオクレティアヌス帝キリスト教徒迫害期に
シラクサで生きた彼女は、拷問によって両目を失いますが、
奇跡によって光は失わなかったと云います。
ここでは死の直前に聖体拝領を受けた場面が描かれています。
華やかな画面、煌めく色彩。天使たちが見守る中、目を瞑り
聖体を拝領する聖ルチア。その姿に心を打たれたのか、
周りの人々は厳粛な面持ちを見せています。
これから死を迎えるとは思えないような静寂が
煌めく色彩の中で彼女を取り囲んでいます。
《Aptheosis of the Pisani Family (detail)》 1760-1762

Villa Nationalre, stra

Villa Nationalre, stra
邦題《ピサーニ家の栄光(部分)》
ピサーニ家はヴェネツィア屈指の名家でした。
この絵はピサーニ家が建てた邸宅の天井画の一部分です。
上へ積み上がっていく雲、そこに腰掛けて地上を
見下ろす聖母。ラッパを吹いている天使は聖母と
鑑賞者の中間点に浮いているように見えます。
これが天井画だということに思いを馳せれば、
この表現が天空を感じさせるものであることに気付きます。
《Saint Tecla Interceding for Plague Stricken》1758-1759

Duomo, Este

Duomo, Este
邦題《ペストに襲われたエステの為に祈る聖テクラ》
聖テクラは聖パウロの最初期の弟子とされる聖人です。
残念ながら、この場面の物語は分かりませんでした。
しかし、この絵に描き出された地上の表現は
圧倒的に素晴らしく、地上部分を拡大して掲載します↓

天に祈りを捧げる聖テクラ、悲惨な地上世界において
彼女だけは神々しい光を発しています。

ペストで亡くなった母を悼む子。
なんと劇的な場面でしょうか、涙を流してしまいそうな程に。
遠景に描かれている街、中景に描かれている人々。
全てに感情を込めて描かれたような命を感じます。