29日(月)夜のことである。 一年中で最も暑い7月の下旬から8月上旬、過去はどのように過ごしてたんだろうかと何気なく“山行記録”をペラペラ。 そうしたら何と、摩耶山天狗道・黒岩尾根・須磨アルプス縦走・紅葉谷や芦屋川から最高峰、更に西山谷なんかが続々と・・・
しかも5~6時間は平気に歩いてるんだから、我ながら馬鹿さ加減にびっくりする。
でもそんなメモに発奮もし、では久しぶりで黒岩尾根を登ってやろうと決めて寝についた。
30日(火)朝、blog書いたりメール整理してたらどんどん気温は上がり、前夜の発奮などすっかり忘れて冷たいコーヒーを2杯3杯。 そうしてるうちに29日の観察会下見でTさんと交わした会話を思い出した、「アマギコアジサイに種子が出来たっておかしくないのでは?」という彼の言葉だ。
いつ、どなたからかは忘れたが、もう随分前に“コアジサイとコガクウツギの雑種であるアマギコアジサイには種子が出来ない”と教わり、今日までそれを信じ込んでおった。 しかしここはひとつ頭を切り替え、一度自分で調べとかねばならぬと思い付いたのである。
コアジサイの分類上の位置はミズキ目アジサイ科アジサイ属でコアジサイという種なんだろう。 同じくコガクウツギはミズキ目アジサイ科アジサイ属でコガクウツギという種になる。
「種」とは分類上でどんな意味をもつのか、それは分類学上の基本単位で、実質的にも潜在的にも交雑可能な個体の集団だろうから、コアジサイとコガクウツギの交雑種アマギコアジサイが生じること自体なんの不都合も無い。 ただここで問題となるのは子孫、即ち発芽生育が期待できる種子が残せるか否かで、交雑種だから生殖的隔離の生じてる可能性はある。
ネットで調べたところ、タニウツギはスイカズラ科タニウツギ属タニウツギ、キバナウツギも同じくスイカズラ科タニウツギ属キバナウツで、もちろん交雑種であろうものは沢山見つかってるらしい。 そしてこの中間種個体にはどうもF1個体(つまり種子から発生した個体)と思われるものがあって、それはかなり強い雑種不稔性をもち、稔性は20%程度と低いんだそうだ。
ああ調べてみて良かったと安堵する。
片っ端からアマギコアジサイに関し検索しても、種子が出来ないなんて一向に見つからず、出てきたのは「両性花を10個程度付ける」 「種子は出来ないと言われるが、交配はもっと複雑に進んでいるようで・・」 「花序の花の数は少ない」 「六甲山では両性花ばかりのアマギコアジサイ」 etc.しか出てこないではないか。
ここまでくれば一定の推論が可能になる(ような気がする)。
アマギコアジサイは数は少なくとも種子を形成しており、花殻を揉んで堅い種子が指先に触れても不思議じゃないのだ。 ただし問題は残る。 アマギコアジサイが種子で増殖してるなんて報告は見い出せないのだ。 確かに種子は形成しておるが、種子の数が僅かとあれば、種子での増殖は難しいかも知れないし、異種間交雑とあって花粉や卵細胞形成過程で何らかの支障が生じてる可能性も否定できない。
ネット記事にはこうもあった、「多くの場合、仮に種間交雑により雑種が生じても、F1が不稔であるため一代限りの行き止まりとなるが、2種間の遺伝子交流が旨く行われる場合もある」と。 タニウツギとキバナウツギがそんな例に当てはまるんだろうし、或いはアマギコアジサイにも? 交雑により3倍体が生じた結果不稔になっても、更に交雑が進んで4倍体が形成されて稔性回復なんて事もあり得るよな・・ ぎこちない頭動かしてたらお昼を過ぎてしまった。
午後は読みかけてた西加奈子の『円卓』
西加奈子という小説家は時としてと言うかいつもと言うか、意外な小説を書いて楽しませる。 「ふくわらい」など典型的で、「サラバ」もなかなかの出来だったし、今回のは「漁港の肉子ちゃん」に近いジャンルと言えそうだ。
小学校3年生の女の子、琴子こと“こっこちゃん”と、吃音の同級生“ぼっさん”の、実は極めてまっとうな会話が秀逸。
またこの小説に登場する人物はみんな個性豊かで読んでて楽しいから、作者が次々に登場させてる人物は、きっと彼女が理想と描く人物たちなんだろうと想像できる。
